CODE 103 担当教員 大 濱   裕
テーマ 第三世界の貧困問題;住民参加にもとづく問題解決へのチャレンジ
著書・論文
研究課題等
〔研究課題〕
  1. 地域社会の自己組織力
  2. 住民参加と地域社会開発
〔論文〕
  1. 貧困問題とその対策:地域社会とその社会的能力育成の重要性:JICA総研
  2. 国際協力に於けるJICAとNGOの連携に関する基礎研究:JICA総研
  3. Self-Organizing Capability : Experience of Bagong Barrio : UNCRD
  4. The Saemaul Undong : UNCRD 他

ゼミ概要
〔内 容〕

 今日, 我々は国際社会枠組みの再編成という激動の時代に生きている。 90年代初頭におけるソ連・東欧圏の社会主義の崩壊や湾岸戦争を契機として, 21世紀にむけた新たな国際秩序樹立と自由化を促進する動きが急速に展開され, 世界はあたかもより良い社会の実現に期待をよせた。 しかし, 先進諸国における繁栄をよそに, 我々の目をアジア諸国を初めとした開発途上国に向けてみると, そこには貧困や環境破壊の増大, 戦争難民の流出といった極めて重大な問題が解決されないままに益々その深刻度を深めている現実に直面する。 今回のアメリカ同時テロの背景には, こうした現実があることを認識しておかなければならない。 こうした状況の中で, 生活の基盤を喪失した人々が増大し, 毎日4万人という子供達が犠牲となってその貴い命を喪っている事を知っているだろうか。 先進諸国の繁栄と開発途上諸国の諸問題は, 実は同じコインの表裏の関係なのであり, 犠牲となった子供達の瞳は我々の社会のあり方そのものを問いかけている。 
 最近は, マスコミにも多々登場する様に, 先進国政府や国際機関を初めとして善意の市民団体およびNGOSによるこうした人々への開発支援活動が世界的規模で展開されている。 これらの努力にも拘らず問題がいっこうに改善されない状況は, そうした開発援助のあり方およびそれを善とする我々の社会に対する姿勢そのものに大きな問題があることを示唆するものである。 
 このゼミでは, 世間一般に行われている様な慈善事業的なアプローチではなく, 開発途上諸国における貧困の国際的・国内的構造原因を把握した上で 「参加型地域社会開発」 に焦点をあて, 同時代に生きる我々が生活者として共に問題解決に取り組んでゆく具体的な方法論や貧困対策政策のあり方を様々な事例に基づいて学んでゆく。 即ち, 生産生活の場である地域社会において貧困層の人々の自律的な問題解決能力の形成を促進する手法やそれを支援する政策のあり方, 住民のニーズに基づいた開発計画の手法等を理論と実践の双方から検討してゆくものである。 同時に, 各々の地域社会がもつ固有な構造機能を把握し, 住民の主体的な開発努力をより実効性の高いものにするための枠組み, またそこにおける開発NGOSが果たすべき役割等も併せて総合的に論じてゆく。 「住民参加」 や 「持続的発展」 をスローガンとして掲げるだけでは何も解決されない。 大事な事は, それを実現してゆく具体的な展望, 手法, 政策を理解し, 我々自身がその実現のために行動を起こすことなのである。 
 一言にいえば, 今日の激動する国際社会にあって我々が如何に生くべきかという根元的な問題を開発途上諸国における貧困問題とその解決方法を通じて共に考えてゆくのがこのゼミのねらいである。 

〔方 法〕

 学生諸君の自発的な学習を尊重し基本とする意味で次の様な方法を採る。
  1. 5〜6名で構成される各グループによるサブ・ゼミ活動を基本とする。
  2. ゼミはディスカッションを基本とし, ロールプレイやシュミレーションも必要に応じて取り入れる。
  3. 地域社会への理解促進のために国内の現場視察合宿を実施する。
  4. 開発途上国の現場を訪れ, 参加型地域開発のプログラムに参加する。
  5. 開発途上国のプログラム事例 (英語文献) を検討の材料として多く用いる。 また,必要に応じてこれら事例を扱ったビデオを利用してゆく。

〔対象となる学生〕

 広く開発途上諸国の現状や諸問題に関心を有し, 将来, これらの国々の現場で専門家・NGOS職員あるいはボランティアとして貧困や環境問題の解決に参加従事する事を願っている学生諸君が最もふさわしい。 また, 国内の地方行政職や地域福祉に関わる団体職員としての将来展望を描いている学生諸君も同様に参加が望まれる。 

〔履修上の注意〕
  1. 履修希望者は, 参考文献から2冊を選んで読み, 「開発とは何か」 について400字  原稿用紙5枚程度にまとめて 「希望票」 と共に提出して下さい。
  2. ゼミ活動に主体的に参加してゆく意欲と根性のない学生には私のゼミは拷問 (?)以外の何物でもないそうです。 ご注意を!
  3. 語学の修得に意欲をもっている学生諸君が望ましい。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
ピーター・オークレー著 勝間靖・斉藤千佳訳 『国際開発論入門』 築地書館, 1993年

Angelito G. Manalili 「Community Organizing for People's Empowerment」 KKF1, 1990年

JICA・総研JR95-15 「貧困問題とその対策:地域社会とその社会的能力育成の重要性」 等
 私のゼミは, とにかく 「よく学び, よく遊び」 ます。 学生や学部の枠を越えて, 場合によっては大学の枠も越えて皆でワイワイとやっています。 真剣に社会を見つめ, 自分を成長させる事に意欲をもやすチャレンジ精神に富んだ若者が大好きです。 この知多半島にドッカと腰を据えて, アジアを, 世界を共に論じていきましょう。


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