CODE 101 担当教員 宮 田 和 明
テーマ 社会福祉政策の研究 
―高齢者福祉政策の動向を中心に
著書・論文
研究課題等
[担当者の主な研究業績]
『現代日本社会福祉政策論』 (ミネルヴァ書房, 1996)
共編著 『転換の時代の社会福祉 日本の論点・イタリアの経験』(文理閣, 1996年)
共編著 『社会福祉と主体形成 90年代の理論的課題』 (法律文化社, 1991年)

ゼミ概要
1.内容・方法

 介護保険制度の発足にともなって, 日本の高齢者福祉は, これまでにない大きな転換の時期を迎えている。 
 高齢者福祉サービスのうちで, 在宅・施設の両面でもっとも大きな位置を占め, 21世紀に向かってその役割がさらに重くなることが予想されている介護福祉サービスは, これまで措置制度の下で基本的に公費によってまかなわれてきたが, 介護保険制度の発足によって保険料を主な財源とすることになった。 さらに, 介護保険制度の下での介護サービスは, サービス供給者と利用者の間の私的な契約にもとづいて, 保険給付という形で提供されることになった。 
 このように, 介護保険制度は, 財源の面だけでなく, サービス供給システムの面でも大きな変化をもたらすことになるが, その影響は高齢者福祉の領域の中だけにとどまるものではない。 
 これまで, 保健, 医療, 福祉の領域の事業は, どちらかといえば縦割り的に運営されてきたが, 介護保険制度の下での介護サービスに関するかぎり領域間の壁はなくなり, 一定の条件を満たした指定事業業者であれば領域の別なく供給されることになる。 
 このことが, 在宅福祉サービス, 施設福祉サービスのあり方や, その主要な担い手である社会福祉法人のあり方に大きな影響を与えることになるのはいうまでもない。 
 介護保険制度の導入を先がけとして社会保障制度体系の再編が進行し, 社会福祉事業法の改正 (2000年6月 「社会福祉法」 に名称変更) , 「社会福祉基礎構造改革」 によって, 社会福祉の理念の見直しと制度体系の大幅な改編が進められようとしている今日, これまでの社会福祉政策の展開のあとをたどり, 政策動向の現代的な特徴を明らかにすることは, 21世紀の国民生活と社会福祉のあり方を展望する上で欠くことのできない課題の一つといえよう。 
 この専門演習では, 社会福祉政策全体を視野に入れながら, 具体的には, 今日の社会福祉の中心的な領域の一つであり, また今後その比重が一層高まることが予想される高齢者福祉分野の制度・施策の動向を検討の主な素材として, 社会福祉政策についての研究を進めていくことにしたい。 
 研究の主題が 「社会福祉政策」 にあることからいって, 履修者には, 高齢者福祉に関心をもつと同時に, 高齢者福祉のみに狭く視野を限定しないで, 社会福祉政策全体の動向について, さらには社会福祉をとりまく政治・経済・社会の全体的な動向に広い関心をもつことを望みたい。 
 最初の数週間は, 3・4年合同でゼミナールを行い, 3・4年ゼミ生の交流と学習成果の継承を図りたい。 それにつづいて, 前期中は, 高齢者福祉の制度と政策の動向についての基礎知識を整理することを目的として, テキストを使用してゼミナールを進める。 
 後期の進め方については, 前期の進行状況を踏まえ, 履修者の関心や希望を考慮に入れて, 前期末に決定する。 
 ゼミナールとして統一的な形態での実習は行わないが, 各自が夏休みなどを利用して自主的に高齢者福祉施設などでの実習に取り組むことを期待する。 

2.履修上の注意

 履修希望者は, 「希望票」 提出と併せて, 介護保険制度について書かれた最近3か月以内の新聞記事 (掲載紙, 日付, タイトルを明示すること) を三つ選んで読み, 現在どのようなことが問題になっているかについてレポート (2000字程度) を提出すること。

使用テキスト 担当教員からのメッセージ
小笠原祐次, 橋本泰子, 浅野仁編 『高齢者福祉』 (これからの社会福祉<4>) 有斐閣, 1997年初版, 2000年補訂 2,400円

小笠原祐次編 『老人福祉論』 ミネルヴァ書房, 2001年5月 2,600円
学生生活の楽しい思い出として残るような, 明るく, 充実したゼミにしたいと思います。 ゼミ活動への積極的な参加を期待します。


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