車いす移乗時の頸部の高さは, 左斜め後方から撮影した VTR 映像から験者の両かかとを結ぶラインもしくはその延長線上から頸 (概ね第七頸椎レベル)
に垂線を引き, 目安となるスケールとの比で推定した. 図 3 に示す 3 局面で高さを比較した.
3) 実験手順
椅座位安静測定終了後, 被験者は, ベッド (高さ 52.5cm) の左脇に立ち, 体位変換の要介助者 (健常な成年男子, 身長 179cm,
体重 79kg) の左方から, 験者の合図とともに, 体位変換動作を行った. 一回の動作が終了してから数秒後に, 再び験者の合図で動作を行った.
動作を繰り返すテンポ (ペース) は, 被験者に一任し, 同じ動作で 10 回繰り返すよう指示した. 10 回の動作の所要時間は 2〜3
分であった.
車いす移乗時も同じ要介助者で実験を行い, 同様な要領で動作を 10 回行った.
なお, 要介助者は, 右片まひの設定で行った.
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4) 最大筋力の測定
被験筋の最大筋力をフォーストランスデューサー (Transducer U3BI-100k-B:Shinko 社製) を用いて測定した. その際, 最大筋力が発揮できるよう,
姿勢と関節角度に配慮した. 筋力測定時の筋電図を記録・保存し, 前述と同様に iEMG/sec を算出した.
5) 統計
動作時の筋放電量について各動作の平均値の差ならびに交互作用を二元配置分散分析によって検定した. 体位変換動作と車いす移乗動作の上半身の引き上げ動作における体幹−大腿角度ならびに膝関節角度については,
動作の前半と後半の差を student t-test によって検定した. 同様に車いす移乗動作の開始時, 中間, 終了時の頚部の高さを student t-test
によって検定した. 危険率は 5%未満とした.
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