4.3 避難所・監視エリアの関係
 本システムでは,まず災害弱者を論理的なグループである見守りネットワークに登録し,その後で物理的な避難所を指定する.最後に地図上に監視エリアを設定して,それぞれの関連付けを行う.
 地図上の物理的なエリアは、重なっていることも可能であり,これにより近接する地域で複数のグループを管理/避難させることや,避難所の変更等の操作に対応することが可能となる.

(1) 監視エリアとゾーン監視
 今回のシステムでは,避難を安全に実施するために,2種類の監視エリアを設定し,それぞれにゾーン監視を行えるように開発した.
 一つ目は,避難所に所属する全ての災害弱者の自宅を含む範囲(たとえば小学校区)を監視エリアとする.避難行動の最中にこのエリアの外に出た場合に,アラームを発生させる.アラームの種類としては,監視エリア内からエリア外に出た異常を通知する(Out監視).
 避難者が,事前に設定した監視エリアの外に誤って出た場合,システムがGPSの位置情報から判断して,Out割り込みを発生させ,異常を画面表示等で通知する.管理者は,避難者にメールなどで連絡して,正しいルートに誘導する.

 二つ目は,避難開始時点もしくは避難中に設定した危険エリア(たとえば市街地火災区域)へ入った場合にアラームを発生させる.アラームの種類としては,監視エリア外からエリア内に入った異常を通知する(Into監視).避難者が,事前に設定した危険エリアの内に誤って入った場合,システムがGPSの位置情報から判断して,intoの割り込みを発生させ,異常を画面表示等で通知する.管理者は,避難者に連絡して,安全なルートに誘導する.

 

(2) 避難所の変更への対応
 実際の災害避難においては,避難所の状況に応じて避難所の変更が発生する.システムとしてこれに対応できるように,避難所変更処理を追加した.
 災害弱者は,災害弱者台帳により”避難所”と”監視エリア”に関連付けされている.避難所AからBへの変更は,災害弱者の関連付けを”避難所A−監視エリアA”から,”避難所B−監視エリアB”に変更することにより実施する.
システム面での考慮は,避難所の変更処理の実施したときに,データベースの関連付けを移行できるように設計した.

4.4 システム構成
 ネットワーク構成は,サーバークライアント型のシステムをインターネットで接続した構成を取る.回線スピードは,カード型のネットワークカードを利用することを想定し,64Kbpsで十分操作可能なように作成した.また,DLPセンターとの接続は,インターネット上にグローバルアドレスを設定して実施するが,災害時に簡易的に使用できるように直接クライアント端末からネットワークカードを利用できるようにした.
今回のシステム構成の特徴は,DLPサービスを経由して位置情報を受け取る部分に位置情報のパッケージ(P-Getter Lite)を利用したことにより,災害弱者監視システム本体の作成に注力できた.

 

 


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Copyright(C):2006, The Research Institute of System Sciences, Nihon Fukushi University