JAM SESSION
STAGE 5

NPOは競争社会

● 佐々木
さて,最後に,NPO としては相当な力も知名度もある「中部リサイクル運動市民の会」ですが,NPO に就職したいとか,NPO で仕事をしたいという人,学生もいますし,あるいは自分でNPO をつくりたいと思っている人もいます.その人たちへのアドバイスはありますか?

● 萩原
僕たちが始めたころと違って,可能性のある職場,やりがいのある職場だし,またそういう能力のある人を必要としている時代の中で飛び込んでいける,というのは恵まれている,うらやましいと思うんだけど,逆にいうと「非常に競争は厳しい」ということを言いたい.能力のない人は,そこでは生き残れない.僕がやってこられたのは,能力がなくてもほかに誰もやる人がいなくて競争がなかったら.そういう意味では今は厳しいよということが言いたいですね.

● 佐々木
NPO は逆に競争がない社会だと勘違いしている人が多いのではないかしら.

● 萩原
社会が必要としているところに優秀な人間が行くように,NPO は特にこれから必要とされているセクターだから,競争は厳しくなると思う.だから,中途半端な気持ちで入ってはいけないんじゃないかな.


● 佐々木
ボランティアとは全然違うわけですね.

● 萩原
全然違うよね.それを職業にするという世界と,自分がいい気持ちになって幸福感を味わう,という話とは違いますよね.それで食べていくというのは,どんな職業でも厳しいということで,プロとアマチュアの違いだと思ってもらえばいいわけ.

● 佐々木
NPO はプロで,ボランティアはアマチュアですか.日本は,プロであるべき人がプロでないことが多過ぎるがために,いろんな問題が起きている国ですからね.NPO もまだアマチュアのNPO が数多く出てきている状況の中で,そこに一回競争原理が働いてプロが残っていかないと,本当の市民社会にはなっていけないかもしれないですね.

● 萩原
経済というのは現実社会の中で非常に大きなウエートを占めているから,そこを肌で感じているというか,机上の空論と現実を理解しているかどうか,これも一種のコミュニケーション能力だと思いますね.

● 佐々木
今日はどうもありがとうございました.

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