3. 結果と考察
通信システムの詳細を表 2・表 3, 転倒時の送信の概略を表 4 に示す.
徘徊老人がこの杖を使用することを考えたとき, 1 つは徘徊老人の位置を知ることも必要となろう. そ
のために, ここでは, 人工衛星を使用した GPS を搭載して, 杖がいま地図上のどの位置にあるのか 50
m間隔で割り出し, その情報を無線 (データ転送ユニット) でコントロールセンターに送る方法を提案して
いる. NiCd (ニッカド) の電池はそのための電源として使用している.
徘徊老人に限らず杖使用者が転倒した場合には FM 放送帯域を使用して, 警告電波を発する構成とし
た. もちろんこの種の電波は電波法で規制されているのでそれ以下の電界強度で使用している. 転倒した
かどうかはボール形の傾斜角センサを使用した.
このシステムを実験した結果, 杖が垂直方向から 85°以上になると傾斜スイッチが働き, FM 送信器か
ら, 転倒メロディが発信されることが分かった. 電波の到達距離については高齢者の手が杖に触れている
ときは到達距離が 50〜60mであったが, 完全に杖が手から離れたときには到達距離が 100m となった.
車の制動距離を考えても通常の市内での使用には十分満足できるものであると言えよう. (高齢者が転倒し
た場合の安全の確保)
|

 |
GPS については, 日本福祉大学情報社会科学部半田キャンパス内の研究教育棟と一般の道路を隔てた, グ
ランド間で市販の東海地区向けの地図情報ソフトを併用した実験を行ったが, 視界の範囲内では 50m 程度
の誤差はあるものの十分使用が可能である確証が得られた.
バッテリーについては稼働するまでの安定時間が約 10 分必要であった.
|
知多・刈谷(プロトアトラス97東海57ページ右)
 |
知多・刈谷(プロトアトラス97東海57ページ右)
|
図2 通信(位置計測)システムの結果
|
|