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![]() | JAM SESSION |
STAGE 2 |
<佐々木> 製造している側が自分の責任としてそういう思想を持つことが必要でしょうが, やはり手っ取り早いのは, 使う側がどう使うかを選択することですよね. コンピュータでも, 常に最新バージョンを追い求めるというのではない動きが出てきましたよね. もう私はウィンドウズ 95 をずっと使い続けるから, メンテナンスをしっかりやって, というように. <伊藤> 自動車もアイ・マックもそうですけど, すごくオートマチックになってるんですね. どんどん楽になってる. そこから入った人は絶対戻れないと思うんです. だからトラブルが起こった時に手が出せない. <佐々木> プリウスに乗せてもらったら, 凄い頻度で電気モーターとガソリンエンジンが切り替わるのにおどろきました. それが全部コンピュータ制御になっていて, 手動で今日は全部ガソリンで走りたいとか, 電気で走りたいとか切り替えできるのかというと, できないらしい. <伊藤> できないです. <佐々木> 私はそんなのありかな, と思いました. もしトラブルがあった時にエンジン周りがおかしいから電気で何とか走らせようとか, そういう人間の側での操作みたいな許容度をまるで奪ってしまって, 「いや私を信じなさい」 という製品のあり方というのは, 疑問ですね. <伊藤> 本当にブラックボックス化と言うか, こちらが全然手が出ないようになってますから. あんまりそんなものが増えると, 実は気持ち悪い世界になるような気がしますね. 機械でつくったものは手で直せない. これからの工業も手で作る所, 人が直せる技術でものづくりすべきだと思っています. だから籐で自転車を作りたいのです. |
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<佐々木> 自分が関われないものばかりに囲まれるのは気持ち悪い. ものの中でも情報化社会になったことで存在意義も変わっていくものと, 住まいや家具のように変わらないものとの両方があるはずだと思いますけれど. 現在はすべてが変質させられている傾向があるように感じます. あるいはリサイクルの話でも, リサイクルできるということは, どんどんみんなが捨てられる感覚, 捨てても安心, また誰かがどこかで使ってくれる,というような, そういう感覚にすり替えられるかも知れないと思うと, かなり危ない. <伊藤> リサイクルをすすめると循環型社会でみんな生き伸びていける, これは嘘だと思いますね. <佐々木> 循環というのは必ずエネルギーのロスはありますから, ずっとそのものが留まっている方が負荷は少ない. もうこれがなくなったら替りがないし, これの行き場もないと思えば, ずっと大切に使える. 例えばそういうふうに, 世の中の意識を変えていくにはどういう方法があるのでしょうか. やはり, まるで宣教師のように日々出会った人とコミュニケーションしていくしかないのでしょうか. <伊藤> よく分からないんだけど, 要するに子ども達に, 貧乏でも生きていけるんだよという話を, どうやって教えるかだと僕は思ってるんです. 数年前僕が新聞に出た時にね, 僕のキャッチフレーズは 「貧乏で元気!」 だったんですよ. でも経済新聞に 「貧乏」と言う言葉は使えないので 「知恵で元気」 に変更されるんです. というわけで, 貧乏でも元気に生きていけると分かったら, みんなもっと楽になるんじゃないかと思うんですよ. <佐々木> いいですね, 「貧乏で元気!」. 私もこれでいこうかな. 今日は長時間どうもありがとうございました. <伊藤> どうもありがとう. |