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1)抑圧開放型:従来の政治体制において, 大きな抑圧を受け差別されてきたが, 改革開放によって解放され, 何らかの形で立直ろうという強い願望によって興業した経営者がこの類型に当てはまる. この類型には下放二世が典型的である. 彼等は親族を通じて, 都市の情報とアクセスでき, ビジネスを始めた人がほとんどである. しかし, 彼等は創業するまで市場の動きに関する情報を間接的にアクセスすることが多く, 農民興業型と比べれば, 市場に対する把握と経営問題の解決においては力量が弱いように見うけられる. 下放二世の企業には大体雇用者数 20 人以下という小規模なものが多い. 2)ハイジャック型:国営企業や集団企業の請負をすることによって, 販売先や他の関連部門のキー・パーソンとコネを作り, 資金の蓄積を達成してから, 請負の契約を打ち切って, 自分の企業を設立したパターンを指す. 彼等は初段階の資本蓄積のための苦労と市場開拓のリスクを背負わずに, 公的所有企業の幹部からいきなり私的経営者に転身したためハイジャック型と呼ぶわけである. この類型には都市の企業の元幹部や農村の元幹部及び彼等の家族が多く見られる. 表1によれば, 11 人の請負経験がある人のうち7人は本人が幹部だったが, 2人は父親が生産大隊の幹部だった. 両者を併せると 81.8%となっている. この類型の経営者はもともと企業や生産隊の幹部で, リーダーシップを持ち, また企業の請負の経験を通じて, 経営能力を高めたため, 私的な企業を設立しても, 経営の面と管理の面には比較的安定しているケースが多く見られる. |
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6. むすびに
中国においては都市と農村の事情には大きな差がある. 本プロジェクトでは農村地域と小城鎮を調査対象地域にしたため, 大都市における私的経営者の実態の把握がまた充分ではないが, 小城鎮の実態からある程度大都市の状況を推測できるであろう. 小城鎮の私的経営者に何らかの特徴があるとすれば, 幹部と高学歴者が多いことが指摘できる. 調査対象となった城鎮戸籍をもっている9人のうち5人が幹部, 2人が大卒である. 5人の幹部のうち2人は市の局長クラスの幹部であり, 自分の権限が及んでいる領域で私的経営者に転身したと言えるが, 他の3人は企業の幹部で, 典型的ハイジャック型と言える.
注 1 ) 個体戸:中国語で, 一人でビジネスをやっている人. 日本の自営業者と似ている.
参考文献:
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