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3. 社会的ネットワークにおける都市と農村との限界を突き破った接点
本調査においては主に農村地域と県政府所在地の市と郷政府所在地の鎮で, 中国語でいわゆる 「小城鎮」 を対象地域にした. 調査対象の基本情報が表1に整理されている. 戸籍をみれば, 創業の時農村の戸籍を持っていた人が 25 人で 73.5%を占めることが分かった. |
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つまり彼等は何らかの形で都市とつながっている. 無論地域によって特徴が異なっているが, 大ざっぱに次のように分類できる. (表2参照) 彼等の都市での経験では一番多いのは闇商売を行うことで, 48%となり, 次いで亦工亦農労働者と軍隊に入隊した経験を持っている人が 24%となり, 下放二世が 20%で三番目となっている. 彼等の都市での生活経験を通じて都市と接点を結ぶプロセスを見てみよう. まず, 都市での闇商売について見よう. 1978 年までは市場が基本的に政府にコントロールされ, 品不足が長く続いたので, 生活用品の修理や部品の交換なども非常に不便な状態にあった. 都市では生活品の闇商売と無許可の職人の活動に対する取締りが行なわれていたが, 市場のニーズがあるため, 政府の取締りの隙間をぬって農村からやってきて闇商売や生活品修理などで収入を得る人が後を経たなかった. 彼等は農村の戸籍をもってはいるが都市や町での商業活動を通じて多くの地域の人と接点を結び, 市場に関する情報も流れてくることから, 商売のノウハウもよく分かるようになった. 市場経済への転換にあたって, 政策に許されると彼等はいちはやく企業を起こすことができた. これが温州地域の私的経営者の特徴として見られる. 次は亦工亦農労働者と軍隊の経験者について見よう. 亦工亦農制度は 1960 年代から改革まで都市の企業に欠かせない季節的・臨時的労働力の需要に対して, 導入された労働制度であった. この制度で雇用された農民は都市の戸籍をとることができず, 一定の期間を終了すると, 農村に戻ることが決められている. 雇用期間は企業によって個々に決められ, 3ヵ月ほどの短い期間もあれば, 何年間にもわたって継続したケースもある. 亦工亦農労働者は多くの場合正社員と一緒に仕事をしているが, 長く継続しても正式な従業員になる可能性は非常に稀で, 結局は農村に戻らざるをえない人が多かった. これと似たケースが軍隊に入隊することであろう. |
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