INTERVIEW

浅賀ふさ先生(少女期)役

戸松 遥 さん

HARUKA TOMATSU

― 主人公の「浅賀ふさ」に関して、どのような印象をお持ちですか。

 今回、演じさせていただく上で初めてふささんの人生に触れさせていただきましたが、本当にいい意味で、女性の生き方を学んでいるような気持ちになりました。そのぐらい丁寧に、幼少期の頃からどういう経緯があったのか、あの時代に女性として医療ソーシャルワーカーという仕事に進むきっかけや、いろんなターニングポイントがすごく丁寧に描かれていたので、気づいたら、演じるためというよりも、本当にひとつの物語を読むような気持ちで、純粋に楽しく読ませていただいて、すごく勉強になりました。
 私が知らない時代のこととか、医療ソーシャルワーカーのこととか、自分の人生の中になかったことに触れることができたことが嬉しく、私の世代でも、すごく楽しく知ることができたなと思いました。

― 役柄を演じられるうえで、何か意識されたことはありますか。

 ふささんは常に前向きで、根本的にすごく明るい方で、前へ前へと進むエネルギーがある方だなという印象を受けました。若いからこその怖いもの知らずみたいなものをすごく感じたので、そこを純粋に出していけたらいいなというふうに思います。
 自分が10代や20代だった時は、全くそれが「怖いもの知らず」だと気づいていなかったりするのですが、振り返ってみると「今だったらできないな。」とか、「よくあんなことできたな。」と思うことが、すごくたくさんあります。
自分の経験もふまえて、ふささんが若かったからこそ持ち得たエネルギーを、お芝居に活かせていけたらいいなと思っています。

― このドラマは日本における社会福祉の黎明期のストーリーですが、「これからの福祉」に期待することなどありましたらお聞かせください。

 私も、何も知らない社会人ではいけないと感じる年齢になってきて、たとえば、日本がこれからさらに高齢化が進むことなどを考えると、私の親はまだ元気ですが それでもいつかは介護が必要になったりすることも、考えていかないといけないのではと思っています。
 親の介護が必要になった時や、自分が年を重ねた時に、どれくらい福祉や医療制度が変化しているのか、とか、そういう時のためにどうしていくのがいいのか、とか、ともかく「仕事が楽しい!」という、仕事中心のことだけで過ごしてはいけないと考え始めています。
 ラジオドラマは耳で聴くものなので、本とか新聞などの活字だとちょっと入りづらい方にも、お芝居を通して耳で聴くことで、よりスッと入ってきやすいと思います。なので、若い世代の方にもこういう歴史があって今の日本に繋がっているということを知ってもらいたいので、このラジオドラマをぜひ若い方に聴いていただきたいと思います。

― 最後に一言、これから聴いてくださる若い世代の皆さんにお伝えしたいことはありますか。

 事前に宣伝などで知って聴いていてみようと思われる方も、たまたまラジオをつけたらやってた、というところから聴いて頂くこともあると思いますが、耳で聴くドラマは、物語に入りやすいと思います。
 医療福祉や児童福祉のことや、女性の社会進出は、今となれば当たり前の話で、ともすれば自分には関係ないって思うかもしれません。また、歴史のことは、ちょっと難しい題材なのかなと思うこともあるかもしれません。でも、印象的な台詞があったりとか、ナレーションがあったり、「言葉」に触れるとすごく分かりやすい部分もあると思います。
 ふささんの幼少時代からスタートするので、ふささんの人生を、本当にドラマ感覚で、純粋に知りつつ楽しみつつ、福祉がどのように発展してきたのかというところも知ってもらえたら嬉しいなと思います。ぜひ気軽に聴いてください。

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戸松 遥

愛知県出身。ミュージックレイン所属。
2006年「ミュージックレイン スーパー声優オーディション」に合格し声優として活動開始。主な出演作品は、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(安城鳴子)、「ソードアート・オンライン」(アスナ / 結城明日奈)、「ハピネスチャージプリキュア!」(氷川いおな / キュアフォーチュン)、「妖怪ウォッチ」(ケータ / 天野景太)、「八十亀ちゃんかんさつにっき」(八十亀最中)、「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ゼロツー)、「かんなぎ」(ナギ)など。