INTERVIEW

主題歌『アスノヒハレル』

はたなかみどり さん

MIDORI HATANAKA

― 主人公の「浅賀ふさ」に関して、どのような印象をお持ちですか。

 台本を読ませていただいて、まず、ふささんの生き方は一言で言うと、「愛と力」というキーワードが自分の中に浮かんできました。『慈悲』という言葉がドラマの中でも出てきますが、どこまでも深い愛というか、包み込むような愛という強い思いを持って、「難しい状況を変えていくことができる」と信じている、そういうパワーを感じました。 「愛」をベースにして、力がみなぎっているー「だから、ふささんのまわりには、人が周りに集まってくるんだ」「だから、ふささんが動いて、社会が変わっていくんだ」みたいな。そういう強さと優しさをどちらもバランスよく持ち合わせている方だな、と感じました。一方で、とてもチャーミングというか、 可愛らしい一面もあって、素直に憧れを感じました。

― 主題歌の「アスノヒハレル」には、そういった浅賀ふささんへの思いをどのように込められたのですか。

 詞や曲の中で、「優しい愛」とか「はじめの一歩を踏み出していく」イメージを伝えてほしい、とリクエストをいただいたので、一歩踏み出して切り拓いていき、光が差してくるような明るさみたいなものを表現したいと思いました。歌詞も最初「歪(いびつ)な世界で」と始まっていますが、雨の日もあって晴れる、闇から光というのを、意識しながら作りました。
 いつもはタイトルをつけるのは、最後です。でも、今回はサビの部分のメロディーと言葉「♪~アスノ日 晴れる~♪」が、最初に同時に思い浮かんでききました。この言葉の響きとメロディーの一致感みたいなところから、曲全体を膨らませていった形で、タイトルもそのままストレートに持ってきたという感じです。

― このドラマは日本における社会福祉の黎明期のストーリーですが、「これからの福祉」に期待することなどありましたらお聞かせください。

 福祉をどう捉えるかによって、身近な存在にも、遠い存在にも思えるのかなと思っています。例えば福祉を「健やかに、自分らしく生きていくことができる社会に必要なもの」と少し広く捉えてみた時には、自分が生きている生活の中で、身近に思えるのではないでしょうか。
 自分なりの捉え方ですが、歌詞の中に「確かな答えのない今に、途方にくれない夜はない」というフレーズがあるんですね。今の時代、何が起こるかわからないし、この間いきなりコロナ禍になったりとか。昨日まで正解だったことが、次の瞬間に違うと変わってしまうほど、正解を求めるのが難しい時代だと思います。だからこそ「一人一人を今まで以上に見つめるまなざし」が大切なのではと思いました。
 この人の場合はこうだから、この人もこうだよねって、簡単に当てはまらない多様性がこの世の中には沢山ありますよね。だからこそ、一人一人が健やかであることを、自分自身の中でも大事にすることや、それを大事にしていいんだよと認められることが、とても大切だと思います。そして、それを周りが言ってあげることや、一人一人に合わせたデザインが認められるも大事かなと思ったりしています。そういったことも私は福祉と捉えて、考えていけたらと思っています。

― 今回のラジオドラマを通してリスナーの皆さんに伝えたいことやメッセージなどがありましたらお聞かせください。

 このドラマをまずは、全編聴いていただきたいと思っています。「自分を信じていいんだよ」と背中を押してくれるドラマだと思っています。今、自分が見ているものや、自分の生きている社会が最適解でなく、さらに良いものを作っていけるし、それを「自分たちの一人の力からでも、声からでも、作っていけるんだよ」という希望を与えてくれることを、ふささんが教えてくれたように感じています。
 聴いてくださった皆さんにも、「自分の声を大事にしながら、新しく一歩始めていこう」ということが伝わったらといいなと思います。

― はたなかさんは美浜町のご出身ですが、美浜町の方や本学にもメッセージをお願いできますか。

 小学生の頃には、日本福祉大学付属高校の和太鼓「楽鼓」の皆さんに和太鼓を教えていただいて、「小楽鼓」を経験できたのは、楽しい思い出です。また、大学生の頃には、他大学の学生でしたが、図書館に時々お邪魔していました(笑)社会の課題に対して問題意識を持っている学生と話をして刺激を受けたり、友達もできたり。そういった意味では、日本福祉大学は子どもの頃からとても身近な存在です。
 ふささんが知多半島のご出身であることは、とても誇りに思います。これから少子高齢社会になっていくなかで、美浜町もどこの市町も、地域で支え合う土台というか、つながりがとても大事になっていくと思います。そういうことも改めて気づかせてくれるようなドラマだと思うので、ぜひ美浜町の皆さんにも聴いてほしいなって思います。私の歌も、大学の皆さんや美浜町の皆さんにも、もっともっと届けられる機会があればいいなと思っています。

PLOFILE

はたなかみどり

新卒フリーランスとしてのキャリアを捨て、「夢の続きを生きよう」と決意し2020年3月より"シンガーソングライター"として活動を開始。"この社会や自分の中にある小さな声"を中心に歌にする。2022年と2023年には「全国路上ツアー」と称して、全国50箇所を巡るツアーを開催。2022ファイナルは「月見ル君想フ」総動員100名突破、2023ファイナルは「Star Pine's Cafe」で来場100席満員御礼sold out。夢はapbank fesで「toU」という楽曲を歌うことと、2026年に渋谷公会堂で単独公演を行うこと。また、2021年より「ICHIFES」も発起人として主催。

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