私のクラスメイトにはネパールから来た生徒がいる。彼は手でご飯を食べる。彼の宗教はヒンドゥー教だ。これだけでも文化の違いが分かる。しかし私が驚いた文化の違いがこの他にも二つある。 一つ目は文房具に対する礼儀だ。ある休み時間に彼は机上のペンを落としてしまった。すると彼はペンを拾うと手でおでこと胸を往復するような行動をした。私はつい彼に聞いてみた。「何しているの?」。すると彼は「文房具に謝ったんだ。ネパール人は自分に知恵を与えてくれる物に対して礼儀を払うんだ」と言った。私はこのセリフを聞いた時、何かを感じた。それは今までに感じたことのないような気持ちだ。その気持ちは胸の底から押し出すように出てきた。「感謝」だ。私は今日まで何かを落としたら足で拾っていた。でもこのセリフを聞いて考えが変わった。私が今使っているペンや消しゴム。これらが無かったら勉強ができない。だから文房具に限らず自分の身の周りの物を大切にしようと思った。 二つ目は家族だ。私は彼に「家族は何人いるの?」と聞いた。私は返ってきた回答に、「えっ、ウソでしょ」と思わず言ってしまった。「三十人」。彼はその理由を説明した。「ネパール人の家族というのはその村の全員のことを言うんだ。村が家族だからみんな仲良しなんだ」。すると彼はある動画を見せてくれた。それは母国に帰ったときの動画だ。彼が子どもと遊んでいる。その子どもは彼の兄弟ではない、家族だ。私は日本と考え方が違うけど他国の考えを尊重してあげることも大切なことだと感じた。 私は彼に会ってとても幸せだ。なぜなら大切なことを気付かせてくれたし、自分の考えと違う考えを持つ人と同じ学校生活を送っているからだ。この経験を忘れることはないだろう。なぜなら彼は私のベストフレンドだからだ。
日本で生まれ育った作者と、ネパールから来た友達の考え方の差を具体的に書いていて、説得力があります。また、「一つ目は」「二つ目は」と分けて分かりやすく書いている点も良いですね。これが、具体的な書き方にもつながっていると思います。自分は足で拾っていた文房具を、ネパールから来た友達が大切に扱うことで、物を大切にする気持ちに気付くという、日常の何気ない出来事にハッとした作者の心の動きが良く描かれている優れた作品です。