今年から満十八歳以上に選挙権が与えられた。これをきっかけに各政党のマニフェストについて授業内でディベートをした。集団的自衛権に対する意見を発表し合う中で様々な疑問を持った。クラスメイトの意見は、「守ってもらうなら日本もアメリカに協力すべき」「戦争に行かなければいけなくなるから反対だ」と賛否両論だった。しかし私は、「守ってもらう」や、「自衛する」という言葉に違和感をもった。 メディアでは、六月にオバマ大統領が広島を初めて訪問したと大きく報じられた。被爆者の方々と話をしたり、記念館を訪れたりと平和な世界へまた一歩近づいたと思った。しかし、ディベートで集団的自衛権について考えたときに、これは戦争や争いに備えたものであると思った。悲惨な戦争は二度と起こさない、平和な世界をつくると言っているのに「戦争が起きたら―」、「他国が攻めてきたら―」と戦争が起こる前提で話している。日本は何と戦おうとしているのか、何のために戦う準備をしているのか疑問に思った。世界唯一の被爆国として平和な世界にするために声をあげていかなければいけないのに、将来の争いのために話し合いをしている。これでは日本が何を言っても説得力はない。子どもでも「戦争は悪い」とはっきり言える。大人達は何をしているのだろうか。 将来の争いのためでなく、将来の平和のための話し合いをしてほしい。今話し合いをしている大人たちはあと二十年後には日本の中心にはいない。これからの日本をつくっていく十代、二十代の若者が多くの声をあげて、大人達に意見を伝えていきたいと思う。今回の選挙に参加することを第一歩にしたい。「自分には関係ない」とは思わず、将来自分にどのような影響があるのか学んでいくべきだと思う。これからの世界や日本の平和について、自分の将来について、少しでも考える高校生が増えれば良いと思う。
選挙権が満十八歳に引き下げられたことをテーマに掲げた作品が何点もありましたが、その中でも内容に広がりがあるこの作品が一番高く評価されました。「将来の争いのためでなく、将来の平和のための話し合いをしてほしい」そのためにも、十代、二十代の若者が選挙に参加して声をあげていきたいという主張を頼もしく感じました。第一段落で自分の思いを素直に書き、第二段落で客観的に考え、第三段落で自分の考えをまとめるという構成を取り、クラスのディベートから始まり、考えを掘り下げていく流れは秀逸です。