重度障害者の座位保持装置の CAD/CAM システム開発
REGTEC2002 で公開発表

展示説明にあたる伊藤庸一郎(株)UA 代表取締役 (写真中央) と
山羽和夫教授 (中央右)

 3 月 4, 5 日の 2 日間, 東京国際フォーラムにおいて, 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) 主催による 「REGTEC2002」 が開催されました. この 「REGTEC2002」 は NEDO が実施している 「地域新生コンソーシアム研究開発事業」 の成果を公開するもので, 43 のプロジェクトからの展示・報告が行われました.
 ここには本研究所が企業などと共同して今年度すすめてきた 「重度障害者の座位保持装置の CAD/CAM システム開発」 も展示されました.
 これまで車椅子に乗る重度障害者は, 身体に即した座位保持装置を必要としていましたが, 座位保持は量産に適さないため, 全て手作業で製作されていました. このため設計・製作に時間がかかること, また製作工房が零細規模なため設計に必要な専門知識を得るのが困難であるということが問題になっていました.
 今回のシステム開発は, こうした問題を解決するため, 主に製作プロセスの短縮, 知識の共有利用支援を目的とし, 加えて生活支援型産業の創出, 関連産業の活性化を視野に入れて取り組まれました.

 

 1 年間の開発の結果, 座位保持設計システムにおいては, CAD/CAM システムを開発し, 設計・製作のデジタル化がはかられたため製作時間がこれまでの約 3 ケ月間から約 2 週間に短縮することができるようになりました. また, 知識ベースを開発し, 小規模工房で利用可能となる知識ユニバーサル化をはかった結果, 現場の人が容易に理解できるものづくりを可能としました. さらに製作過程において使いやすい人体の 3D モデルを開発し, これを設計に用いた結果, 車椅子産業へのフィードバックと工房への連携が可能となり今後の関連産業への波及が期待できるものとなりました.
 この開発は本研究所と (株) ソラ・ユニバーサルアーカイブス, (株) マクシス, 工房バリアフリーの 4 者の研究共同体において実施されました. 本研究所からは山羽和夫教授 (情報社会科学部) が研究開発にあたりました.

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