最初の建物に育成中の企業が約 40 社あり, いっぱいとなっているため, 新たに 40000 平米の四つの建物を建設した, この建物はテーマによって専業園, 大学園, 留学生園, 農業園に分けられている. 専業園には情報通信産業, バイオロジ産業, 大学園には大学や研究機関の科学技術者の起業, 留学生園には外国から帰国し, 投資したい留学生, 農業園には農業技術とそれぞれ操業に必要な施設を提供している. すでに 80 社が入居している. 合計約 120 社はセンターでベンチャー企業として育成中である. 現在自然失敗の企業が多くあるが, 成功の企業は約 50−60%でシリコンバレーよりも成功率が高い. 成功した企業の製品の付加価値は比較的高い.
 この施設は, 国家のベンチャー企業の支援政策として, 損得を無視して営まれているが, 収支は相償っている. 最初, 建物を作るのに 1 億人民元を投下, その一部を国が負担し, 残りを合肥市が負担した. こうして作った施設を, 創業者に安く提供している. この投下資金まで回復するのは困難である. これから民間の投資も受ける考えがある.
 センターで創業している 2 社を調査した. 一社は電化製品の温度センサーを生産する部品メーカーで, 経営者は中国科学技術大学の博士課程化学専攻を中退し, 創業した 30 歳の若者である. もう一社の経営者はフランスの電子学博士である. フランスに合計 13 年滞在し, 中国科学技術大学で 10 年間教員を務めた. 1998 年に再度渡仏. 博士号を取得して帰国したが大学には戻らず, 創業を決意して, センターに入所し, 1 年を経過した. 専攻は Biomedical Telemetryで, これはフランスで進んでいる領域で. 現在, 歯の脂や汚れをきれいに落とす装置を開発, 販売中である.
 この施設では科学技術研究の成果を製品化と商品化するプロセスに不可欠な生産管理と市場開発などに必要な知識と最初の創業段階に必要な工場用地, 建物などへの投資資金を提供し, 科学技術者が自分の研究成果を最短期間で商品化することが可能となった.

2. 全民起業の風土

 国営企業のリストラと私営企業の急増に伴い, 一般民衆の起業に対する関心が強くなってきた. 起業は少数の人しかできないことではなく, しようとすれば, 誰でも可能だと思われる風土になっている. 90 年代まで私営企業家の中は, 計画経済時期抑圧された農民と都市の無職市民が多かった状況が変わり, 農民から大学教授までさまざまな出身の人が製造業, 建設業, 流通業, 金融業などさまざまの業種で起業してきたことが今回の調査から分かった. 国の私営企業に対する規制緩和が急速に進んでいるため, 民営の銀行や大学弁企業は次々と株式市場に上場し, 技術開発, 資金の調達, 製造, 販売まで産業化したことが分かった
 今回の聞き取り調査の対象企業には民営銀行が一社, 大学弁企業が一社, 私営企業 5 社がある. 業種から見れば, 金融業一社, メーカーは 5 社 (情報産業, 電子部品, 医療機器, 縫製, 機械一社ずつ) 総合商社一社となっている. 経営者の学歴を見れば, 7 人の内 5 人は大学以上の卒業で都市部の経営者は学歴が比較的に高いことがわかった. 年齢については 4 人が 30 代, 3 人が 40 代で比較的若い. 他の国と異なり, 二代目の経営者がほとんどいなく, ほぼ全員は創業者である. 7 人のうち 5 人はもともと大学や国家機関のエリートで, 安定した職を放棄して, 私営企業の経営に挑戦した, いわゆる 「下海」 (商海に下る) の人である.
 今回の聞き取り調査の対象企業は数少なく, 代表性を持っているといい難いが, 市場経済の進展と起業環境の整備に伴い, 都市における従来の安定した職を守るよりも, 収入が多く, 自己実現が可能性を求め, 起業に挑戦することは新しい価値として徐々に定着しているようである. また企業の経営者は比較的に学歴が高く, 市場の動向を把握し, 企業の戦略的な計画への取り組みが 10 年前と比べるとかなり進んでいるように感じた.
 これらのことを踏まえて, 来年度中国とマレーシアでアンケート調査を実施し, 上に述べた諸課題について定量分析を行い,理論的構築をしようと考えている.

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