半年間に及ぶゲームの継続では, 知能・性格・記憶・運動など多くの機能を測定してゲームの効果を確認しようとしたが, 一部の機能を除いて明確な効果は認められなかった. しかしながら, 脳障害による麻痺を有する高齢者ではリハビリの一部にゲームを取り入れたところ, 半年間に運動機能の改善が認められた. この改善は, ゲームによるものとは限らず, ゲーム以外のリハビリの効果も含む. 従って, ゲーム自体の効果がどの程度であったかは不明である. 以上の, 定量的な結果のほかに, 高齢者のゲーム機器の扱いを観察した結果から, 現在市販されているゲーム機器には容易に想像できるような高齢者にとっての操作上の問題点が存在するが高齢者は高齢者なりにそれらを解決していく方法を見出していくこと, ソフトの高齢者適性に関しては, 今回の調査の結果をもとにさらに検討を加える必要のあることが伺えた. 実際に半年間ゲームを継続したのは, 高齢者が集る亀崎地域総合福祉センター, 本学の生涯学習センター, ボバース記念病院のリハビリ部門であったが, ゲームを媒介にすることによって, それぞれ, 高齢者同士・生涯学習に学ぶものと実験に加わった学生との間・リハビリを行う患者とその家族間において, コミュニケーションが生じ, 高齢者はこのようなコミュニケーションを強く求めていることがわかった. その意味でのゲームのもたらす効果は非常に大きいものがあった. このような関係は家族間でも充分に成り立つものと思われる. 問題は, いかにそのきっかけをつくるかという点にあろう.
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