JAM SESSION
STAGE 6

 

ゲスト ソプラノ歌手 下垣 真希 氏

聞き手 日本福祉大学情報社会科学部 助教授 佐々木 葉


 JAM SSESSION 第 6 回目のゲストは, ソプラノ歌手として各種のコンサートに出演されるとともに, ディスク・ジョッキー, 通訳, そして司会にトークショー出演と多彩な活動を繰り広げられている下垣真希さんです.

 

   

下垣 真希・しもがき まき

岐阜県下呂出身. 愛知県立芸術大学卒業. ドイツ国家声楽教授資格を取得し, ケルン国立音楽大学卒業. ドイツの国際ラジオ局でディスクジョッキーを務める. 1998 年 「第 20 回都市文化奨励賞」 受賞.

2001 年愛知県遊戯業協同組合より大衆文化賞受賞. 同年自らプロデュースした日本の歌の CD 「じゃぽねすく」 を発表. コンサートのプロデュースや司会, 文化・教育などに関する講演, 著名人とのフォーラムや TV の対談, 新聞, 雑誌への執筆など多方面で活躍している.

 

●佐々木
 こんにちは. ご無沙汰しています. 下垣さんとはシンポジウムや委員会でごいっしょすることが度々ですね. なんとなく気が合うと私の方では勝手に思っているのですが, 今日は改めてよろしくお願いします. ではさっそく, 下垣さんの自己紹介というか, もちろんソプラノ歌手というのがご紹介として一番適切なのでしょうが, それ以外にも幅広く活躍していらっしゃるので, 今日にいたるまでの経緯などからお話いただけますか?

 




■ この子は歌そのもの! ■

●下垣
 私はオペラ歌手としてずーっと歌だけをやってきたのではなくて, ドイツに留学したときも歌は一応, 柱だったのだけど, ラジオの DJ もやったり, 翻訳や通訳の仕事もしていました. 音楽の世界では, ピアノやバイオリンを 3 歳くらいからはじめてそれ一筋です, みたいな, どっぷり音楽につかった環境で育っている人が多いけれども, 私はそうではなかったの. そもそも私の住んでいたのは下呂, それも温泉街から離れたすっごく田舎だったから, 幼稚園もないプールもないようなところで, 山の中で木の実もいで食べたり, ツララを折って食べたり (笑い), そういうことばかりしていて育ってきました. それでもうちは父がすごいオペラファンで, 母がピアノをやっていましたから, 6 歳くらいから母がピアノを教えてくれました. 父のオペラ好きは凄くて, 日曜日になるとオペラデーとかいって, 一日中, オペラのレコードが村中に響くような大音響でかかっていた. 家でも常に聞いていたので, クラシック音楽が自然な形で生活の一部になっていました. でもそれを学ぶべき対象とか, 生涯の目標みたいにとらえることはしていなかったの. 一応高校でもピアノをやっていたんだけれど, 高校は金城女学院だったから, みんなチャラチャラで, 「今日はどこいくぅ〜?栄にするぅ〜? やめようよ今日は名駅で遊ぼうよぉ〜」 という感じのなかで, 一人まっすぐ家に帰ってピアノの白黒の鍵盤に向かう, というのが辛くて結局やめちゃったわけ. それまでも歌をやるということはまるで考えていなかった.

●佐々木
 そうだったんですか.

●下垣
 その頃, 半年間, 音楽から離れて虚しい日々を過ごしていた. たまたま母の昔の恩師が合唱連盟か何かの用で名古屋にいらしたとき, 母が 「この子はピアノやめちゃって」 という話をしたら, その先生が私の声を聞いて, 「面白い声してるから歌ってごらん」 といって, 私が適当に 「アーアーアーッ」 とやったら, 「この子は歌そのものだ!」 といわれて, それが歌をやるきっかけになったわけなの.

●佐々木
 すごいきっかけ! でも 「歌そのもの!」 って言う表現が, とってもよくわかる気がします. それまでは歌をきちっと学んだことはなかったのでしょう?

 

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