タイトル

2007年度に採択された大学院教育改革支援プログラム(以下「大学院GP」)の取組は、 折り返し地点を過ぎ2009年度が最終年度となります。これまで実践力の養成方法のひとつとして、 ケースメソッド授業の医療福祉分野への導入を模索し、ケース教材の開発やカリキュラムの拡充を進めてきました。
 
本フォーラムでは、第1部の基調講演にケースメソッド研究所の竹内先生をお招きし、 ケースメソッド授業の教育効果や重視すべきコンセプトについて講演いただき、第2部はディスカッションの 運営技術の向上やケース教材のブラッシュアップを図る模擬授業やワークショップを開催いたします。
この機会に是非ご参加下さい。

日時 2009年3月7日(土) 10時00分〜16時20分 (受付は9時30分から)
会場 日本福祉大学名古屋キャンパス北館8階
名古屋キャンパス交通案内
申込方法 ホームページまたは、FAXにて受付
ホームページでの申し込み
FAXからの申し込み(PDF形式ファイルが開きます)
申し込み期限は2009年2月28日(土)です。本フォーラムの模擬授業で使用するケース教材の配布や課題の提示・回収等、事前のご連絡を予定しておりますので、お早めにお申込み下さい。
プログラム  
第一部
10:00 〜 12:00
開会挨拶
近藤克則 (日本福祉大学「大学院教育改革支援プログラム」取組責任者)
(日本福祉大学大学院 社会福祉学研究科長/医療・福祉マネジメント研究科開設準備室長)
基調講演
『ケースメソッドを理解する』
慶應大学ビジネススクールで取り組まれてきた経験を下に、マネジャーの能力開発のためのケースメソッドの特徴と原則、教育効果、重視すべきコンセプトなどに焦点を当て、ご講演いただきます。
講師:竹内伸一
(株式会社ケースメソッド研究所 代表取締役)
(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特別研究講師)
趣旨説明
「ケースメソッド研究会(仮称)」設立と参加の呼びかけ
本プログラムの「実務家の参加する研究会」の一つとして、「ケースメソッド研究会」を発足させます。研究会のねらい・事業計画の説明を行います。
担当:篠田道子
(日本福祉大学大学院 福祉マネジメント専攻主任)

第二部
13:00 〜 16:20
ケースメソッド
模擬授業
「ディスカッションの運営技術」
ケースメソッドにおいて「ケース教材」と「ディスカッション運営技術」向上が車の両輪です。今回の模擬授業では、後者に焦点をあて、そのスキルアップを目的として、訓練主題の設定方法、設問の作り方、討議が活性化されるリードの方法やポイント、ケース教材の改善方法について考えます。 【使用予定教材】「『もののけ姫』宮崎駿と鈴木俊夫」(慶應大学ビジネススクール,2004)
講師:竹内伸一
ワークショップ
「ケース教材の試運転」
ケース教材の完成度をあげるためには、授業等で使用する前に、実際に試しに使ってみることが重要になります。これを「ケース教材の試運転」といいます。この試運転では、新規のケース教材を用い、それが学びを促進させるツールとなっているかどうか、開発者の意図した通りに展開するかどうかを確認します。さらに、ディスカッションリードの経験や討論に協力することで、討論の運営方法を学びます。
閉会挨拶
近藤克則
ケースメソッドとは?
「ケースメソッド」についての定義や条件などについて、ご紹介します。
ケースメソッド教育の定義・目的・条件
高木[慶應義塾大学教授](2006年)によれば、「訓練主題の含まれるケース教材を用いてディスカッション授業を行う体系的な教育行動」と定義されています。 訓練主題が埋め込まれたケース教材を用い、講師のリードを受けながら受講生がその背景にある顕在的・潜在的な要因を討論し、解決策を相互に模索し、 自らの意思決定力を向上させることを目的としています。
 
意思決定の本質は「より良い方法の選択」であり、多くの選択肢を準備し、何を選択するのか、 その価値判断やプロセスを言語化し、問題の背景や要因など多面的に分析することです。
 
ケースメソッド授業の条件は、次の4点を満たしているものです。
1.ケース教材が用いられる
2.3段階からなるディスカッションで思考を深める
3.ディスカッションリーダーによる学びの舵取り
4.参加者は協働的な討論態度を貫く。
ケースメソッドで鍛えられる力
異なる背景、価値観、教育背景を持つ参加者同士が討論することで、多面的な問題分析力、 情報統合能力、意思決定能力など実践力を鍛えます。参加者は他者の発言を受けて自らの考えを再検討し、 新たに構築された考えを発言し、さらに考えを深めます。これらを繰り返し行うことで、討論による相乗効果が期待できます。 このような実践力は、知識伝達型である講義では身に付きにくいものです。職種や領域を超えた意思決定が求められる、高度専門職業人に適した教育方法です。
ケースメソッドとケーススタディの違い
ケーススタディまたは事例報告のケースは、執筆者の分析、判断、解釈が書かれているものが多く、 一定の解決方法や意図が読み取れます。討論による異なる意見を引き出すのではなく、一つの解決策を導き出すことが目的です。 一方、ケースメソッドのケースは、討論のための資料として作成されるもので、問題状況に関する記述は詳細に書かれていますが、 執筆者の分析や解釈は書かれていません。討論する人が自由に解釈し、活発な討論を繰り広げ、参加者による相乗効果を体験しながら、 多面的な分析力や問題解決力を養成することを狙っているからです。
【文献】
高木晴夫、竹内伸一(2006):ケースメソッド教育ハンドブック.慶応義塾大学ビジネススクール
高木晴夫、竹内伸一(2006):実践日本型 ケースメソッド教育.ダイヤモンド社