実施報告

2015年5月30日(土)開催
“高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム” 開講式

2015年5月30日(土)午前11時より、日本福祉大学名古屋キャンパス北館5階において、開講式が行われ、教職員と13名の受講生とが出席しました。

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初めに、プログラム責任者の平野副学長より開講の挨拶があり、プログラム検討に至る大学側の思いや受講生とともにより良い内容にしていきたいという決意が、激励とともに述べられました。 その後事前に提出された自己紹介カードに基づいて、受講生の自己紹介がなされました。 プログラムに関心をもった背景や受講への期待、過去~現在の職場での仕事内容、問題意識、最近気になることなど、多岐に渡る話題のおかげで初顔合わせながら次第に打ち解け、互いの発言に触発されながらの意欲的な発言が出されました。 教職員も同じく自己紹介を行い、ランチタイム交流会でも、昼食を取りながら受講生同士や教員と話に花が咲いていました。

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プログラムの全体説明では、講義、演習、フィールドワークがシラバスに基づき紹介され、プログラムが体系化されていることや履修証明のための修了要件、オンデマンド講義受講や掲示板利用の方法、キャンパス利用などについても説明されました。 終了判定の要素の1つでもある課題研究は、講義、演習、フィールドワークでの学びを自身の課題の明確化や深化などに活かしながら、「福祉開発マネジャー」としてその成果をまとめ、2016年3月20日(日)に予定している課題発表にて発表することが求められます。

シンポジウムでは、フィールドワークを担当する雨森教授が高知フィールドワークについて、プログラム開発委員長の穂坂教授が北芝フィールドワークについて、スケジュールなど概要を紹介しました。 続いて、高知県土佐町社会福祉協議会の山首事務局長、本プログラムの実務家教員でもあるNPO法人暮らしづくりネットワーク北芝の池谷事務局長が、それぞれの地域の抱える課題や現状、取り組みについて紹介して下さいました。 これらはまさに、選択式としているフィールドワーク予定地のプレゼン合戦にもなりました。
 
土佐町は、保小中一体化と統合で廃校となった10の旧小学校を、コミュニティ再生拠点として位置づけている点が特徴的です。 地域福祉推進は地域づくりと両輪であることから、社協も積極的に関わっています。 移住促進により、茶畑再生や地域の活性化などの実績が生まれ、苓北地域での移住者のネットワーク化も見られるようになりました。 こうした移住者が移住先での死をどう捉えていくかも含め、地域で生まれ地域で暮らすことを支える視点だけではなく、地域で亡くなることをどう支えるかという、これまで余り言及されてこなかった「死を真ん中に置いた福祉支援」をしていきたい、と山首局長は熱っぽく語られました。 また、「病んでいる地域には主治医が要る」、「集落活動支援員、地域おこし協力隊、地域支援企画員のチームケアができるようになってきた」といった話や、苓北地域4町村での高校生のキャリア教育・町内での福祉教育の重層化という人材育成の話など貴重なお話を伺えました。
 
画像 大阪箕面市にある北芝地域では、地域づくりを核にした先進的な取り組みが多数行われており、大変興味深いところです。 地域通貨「まーぶ」の取り組みは、単に地域活性化の仕組みを越え、子どもが地域で生み出される仕事を手伝う体験をしながら、頼りにされて社会で役割を担い、感謝の言葉と駄賃を得ることで自己肯定感を高め、地域の経済活動に参加しながら1住民として生きる力を養っていくことに目的があります。 協力店舗は拡大の一途で、100%換金だけではなく95%の換金で5%を「子ども通貨基金」の寄付に回すこともできます。 また、2万まーぶを集めると、その子どもの実現したい夢を実行するための「実行委員会」が発足します。 現実化した夢企画は「気球に乗りたい」、「大型ショッピングモールで逃走中をしたい」などがあるそうです。

池谷局長の、「助けて」が言えなくても誰もが安心して暮らすことのできる地域づくりこそが本当は重要ではないか、という、「助けられ上手になろう」=「地域福祉の王道の合言葉」となり過ぎていることへの違和感からの厳しい投げかけは、私たちそれぞれの支援観について考えさせられるものでした。

この後、場所を移しての懇親会でも、とても盛り上がりました。 6月開講科目では、掲示板上では熱い議論が交わされています。 これから7月開講科目が加わることで、課題研究への学びも深まっていくことでしょう。 事前学習も同じく始まる予定ですので、受講生や教員が再び顔を合わせることになる、フィールドワークへの期待も高まっています。

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