小学校の先生になる夢を叶えるため、教育・心理学部 子ども発達学科 学校教育専修 特別支援教育コースで学んでいる草野八雲さん(3年)にお話を伺いました。

特別支援教育にも対応出来る小学校の先生を目指して

 「福祉」という言葉を知ったのは小学校3~4年生頃です。当時担任だった先生は左半身に麻痺を持っていて杖をついていましたが、休み時間には子どもたちとプロレスをするような、明るく元気なみんなの人気者でした。大好きな先生が日常の中で障害とぶつかる姿を目にするたびに、「大変そうだな、先生の助けになりたいな」「学校にエレベーターをつけたり出来ないのかなあ」と子どもながらに感じ、図書館に行って調べたり先生と話をするうちに、小学校の先生になりたい気持ちが芽生えました。

模擬授業での1コマ

 その後、小・中学校の同級生で、聴覚障害を持つ友だちと高校進学の話になったときに、特別支援学級や特別支援学校の存在を知りました。また、特別支援教育の免許を持たない先生が特別支援学級の担任になることも少なくないという実情に衝撃を受け、「自分が小学校の先生になって特別支援学級を任されたとき、子どもたちにちゃんと教えられるように特別支援教育についてしっかり学んでおきたい」と考えるようになりました。

 地元の福島県からもっと近い大学はいくつもありますが、日本福祉大学は障害児教育だけでなくそれに関わる福祉の学びが充実しているところ、ボランティアサークルがたくさんあって授業以外でも幅広く福祉について学べるところが魅力的で、進学を決めました。実際に入学してみると、大学生活の中で障害を持つ学生と接する機会が多く、関わり合いによって生まれる学びはとても貴重なもので、日福ならではの強みだと感じています。

学業・アルバイト・ボランティアと忙しくも充実した大学生活

 普段は週4~5日、コンビニでアルバイトをしています。シフトは朝・夜どちらもありますが、アルバイトの前後で勉強時間を確保するよう心がけています。1,2年生の頃は学習支援を行うボランティアサークルでの活動も行っていましたが、今は学業とアルバイト優先の毎日を送っています。ただ、ボランティア自体は今も続けていて、小学生~高校生を対象にZoomでギターを教えています。生徒たちには、夢中になれるものと出会い、学校以外でも輝ける場所を見つけてほしいと思います。少しでもその力になれていたら嬉しいですね。

 学業面では、特に3年前期はあらゆる模擬授業が目白押しで、本当に大変でした。模擬授業は複数人で行うため、学生同士の意見がぶつかってまとまらなかったり、反対に全然意見を出さない人もいたり…。最初は「一人の方が気楽でいいな」と考えていましたが、新しい視点での考え方に気付くことで、一人では解決出来ないことが良い方向に進むこともあり、集団でしか得られない学びもあるんだと実感しました。実践によってこれまで学んできたことへの理解が深まり、回数を重ねた今では楽しいと思えるようになりました。

 学業・アルバイト・ボランティアと、忙しくも充実した大学生活を過ごしています。

「知的障害児指導法」で模擬授業を行ったメンバーと
(写真後列左から2番目)

「やるべきこと」だけでなく「やりたいこと」も大事にしたい

 これから特別支援学校での教育実習、教員採用試験、卒論…と重要なイベントが控えていますが、一つひとつにしっかり向き合って、良い結果を出せるよう日々励んでいきたいです。「やるべきこと」に追われすぎると疲弊し潰れてしまうので、「やりたいこと」も大事にしたいと思います。高校1~2年生頃から始めたギターを弾いて歌ったり、友だちと空きコマでカードゲームをしたり、リフレッシュの時間も設けて自分を労りながら、一日一日を大切に今後の大学生活を過ごしていきたいです。

 あと、現在受講している「聴覚障害児指導法」で学んでいる手話も身に付けたいですね。これは「やるべきこと」でもありますが「やりたいこと」の方が強いです。とても上手な手話サークルの友だちから教えてもらっているので、習得できるように頑張ります。

野間灯台オレンジライトアップイベントにて/二十歳のつどい後、地元のライブハウスで/友だちとカードゲーム(写真奥)

過去の辛かった経験を糧に、子どもの側に立つ先生でありたい

 大学卒業後は、昔からの夢である小学校の先生になりたいです。これまで誰かに話したことは無かったのですが、過去、いじめを受けた時期がありました。当時は「心配かけたくない」という気持ちから、周りに気付かれないように過ごしていたと同時に、誰も気付いてくれない苦しさに悩んでいて……今になってやっと人に話せるようになりました。先生になる上で、過去の辛かった経験も糧にするぞ!と自分を奮い立たせています。通常学級、特別支援学級どちらが良いという希望は特にありませんが、どちらの担任になったとしても、子どもたちのために全力を尽くしたいです。もし辛く苦しんでいる子がいたら、気付いて手を差し伸べてあげられる先生になりたいと思います。

 高校生のみなさん、大学は学びたいことを学べる素敵な場所です。大学での学びは専門的で幅広く、どういう目標をもって何をどう学ぶのかをしっかり考えて判断する必要があります。自分で決められる自由がある分、責任も求められます。たくさんある情報の中から「やるべきこと」「やりたいこと」を整理し、自ら選択できる大学生になってください。応援しています!

日本福祉大学 教育・心理学部 子ども発達学科 学校教育専修 特別支援教育コース3年

草野 八雲さん

YAKUMO KUSANO

  • 福島県/日本大学東北高等学校出身

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<取材:山形最上オフィス>