36℃の言葉。あなたの体温を伝えてほしい。 2017年度 日本福祉大学
第15回 高校生福祉文化賞 エッセイコンテスト入賞作品集
学長メッセージ
審査員の評価と感想
入賞者発表
第1分野 ひと・まち・暮らしのなかで
第2分野 スポーツと わたし
第3分野 日常のなかで つながる世界
第4分野 社会のなかの「どうして?」
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入賞者発表
第2分野 スポーツと わたし
優秀賞 眉毛パワー!!
滝高等学校 3年 畦元 海帆

 「眉毛を思い切り上げる」
 これは私のルーティンである。中学に入るとバレー部に入部した。私の性格を一言で表すならば、臆病者。ミスを恐れ、ミスをして泣き、そしてそれはチームの雰囲気を悪くしてしまっていた。そんな時に先生に教えてもらったのが、この眉毛を上げる方法だ。私はこれを勝手に眉毛パワーと呼んでいる。眉毛を上げることで意図せずとも顔が明るくなる。そして眉毛を上げた時の顔がなんだかおかしくて自然と周りも笑顔になるのだ。
 高校でもバレーを続け、後少しで引退という大事な時期に、私は大怪我を負ってしまう。引退試合には間に合わないと医師に言われた。仲間が引退に向けて結束を高めていくなか私はただ眺めることしか出来ない。チームが私を抜きにして強くなることに素直に応援出来ずにいた。どんよりした私の雰囲気がチームに伝わっていたのだろうか、練習試合等で負ける事が多くなった。ふと鏡を見ると覇気のない自分の顔。こんな時に眉毛パワーなんて、と思っていたが試しに眉毛をウンと上げてみる。暗い気持ちとは真逆な、鏡の中の空回りな明るい自分の顔を見ているうちに自然と気持ちが楽になった。クヨクヨするな!そう言われた気がした。それからというもの、私はプレー以外の面でチームに貢献した。積極的に声を出したり、臆病な自分のせいで今まで出来なかった他人へのアドバイスもするようになった。そして、チームが強くなることがなによりも嬉しくなっていた。
 結果を言うと、最後の試合は一回戦敗退だったのだが、その試合は自分がプレーしていたどの試合よりも楽しかった。かつての私なら決してありえない感情だと思う。
 周りから見ると不恰好で、ちょっと変な眉毛パワー。でも私にとっては大切な眉毛パワー。
 「ほら、私はもう臆病なんかじゃないよ」

講評

 タイトルの「眉毛パワー!!」も含め、エッセイ全体がそこはかとないユーモアに包まれており、面白く読むことができました。こうしたユーモアあふれる作品が比較的少なかったので、この作品が特に光っていました。エッセイの醍醐味を味わえる作品と言えるでしょう。
 本来は自分も出たい引退試合にもかかわらず、大怪我の為、出場がかなわないという逆境を乗り越え、チームメイトにアドバイスをしたり、これまで以上に試合を楽しめたりする作者の様子に、読んでいた私たちも感動し、グッときました。どんな眉毛なのか、実際に見てみたい気持ちでいっぱいです。

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