科目名 哲学・倫理学

単 位 数 学年配当 開講期間 担 当 教 員
2 2 前期開講 成瀬 翔

テーマ
「正義」について哲学的に考える。

科目のねらい
<キーワード>
政治  正義
倫理  道徳

<内容の要約>
現代において「正義」という言葉はもはや陳腐なものですが、それでもなおわたしたちは世の中の「不正」に対して憤り、それを正さなくてはならないと考えます。しかし、なにが「正しい行い」であり、なにが「正義」であるのかは、容易には回答できない問題です。
この講義ではマイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』を通して、現代社会の問題を哲学的に考える練習をしていきます。
授業では、はじめに哲学の基本的な考え方を紹介し、その応用として「正義」や「自由」といった現代社会の課題や政治的問題において議論されている概念について考えていきます。

<学習目標>
社会の問題について議論することができる。
正義にかかわる議論を理解することができる。
他者の意見を批判的に検討し、自分の意見を述べることができる。

授業のながれ
第1週では、哲学の基本的な考え方をまず紹介します。
第2週では、人間の欲望と「近代」という時代について考えていきます。
第3週ではカール・シュミットという政治思想家をとりあげ、彼の考えが正しいのか検討していきます。
第4週は独裁者に熱狂してしまう人間の心理について考えていきます。
第5週は、集団の団結や連帯といったポジティヴな要素が、異質な他者を排除することになるプロセスを考えていきます。
第6週は「正義」に対する3つのアプローチを確認します。
第7週は、功利主義とそれに基づいたさまざまさまざまな考え方に対するサンデルの批判を考えていきます。
第8週は、自由を重視する「リバタリアニズム(自由至上主義)」に対するサンデルの批判を検討します。
第9週では、お金と市場にかんする倫理的な問題を考えていきます。
第10週では、カントの倫理学を通じて、動機が重要なのか、結果が重要なのかという二つの見解の対立を考えていきます。
第11週では、平等を擁護するジョン・ロールズの『正義論』の議論と、それに対するサンデルの批判を検討していきます。
第12週では、差別に対するアファーマティブアクションについて考えていきます。
第13週では、アリストテレスの倫理学について考えていきます。
第14週では、美徳と政治の関係について考えていきます。
第15週では、最後にサンデルのコミュタリズム(共同体主義)の考え方を議論し、講義全体を振り返ります。

準備学習の内容・学ぶ上での注意
【講義に出席する上での注意事項(授業に臨む際に求められる態度・姿勢)】
積極的に質問をすることを重視します。事前に不明な点やよくわからなかった箇所を明確にして、授業内や配布するコメントシートに記入してください。

【科目固有の事柄】マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』をテキストとして使用します。この本は単行本(ハードカバー)と文庫本(ソフトカバー)の2種類が出版されています。大学生協では、文庫本を販売しますがどちらを購入しても構いません。古本屋などで安価で売られているので、入手しておいてください。

また,毎回配布するコメントシートに質問や感想を記入してください。(氏名・学籍番号のみ記入したコメントシートは出席とみなしません。)

事前事後 学習内容 時間数
事前 テキストの精読 15
事後 配布資料の復習 5

本科目の関連科目
政治学、法と人権、看護倫理

成績評価の方法
期末試験(筆記・Web・レポート・最終授業内) 70%
授業内でのレポート・課題等 30%
その他 
私語やスマートフォンの使用等は厳禁とし、退席を求めます。

テキスト
■テキストを使用する
■レジュメを使用する
□未定 (最初の授業で指示する)
<著者>マイケル・サンデル <テキスト名>『これからの「正義」の話をしよう』 <出版社>早川書房



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