科目名 行政法

単 位 数 学年配当 開講期間 担 当 教 員
4 2 後期開講 高橋 洋

テーマ
行政の過程をコントロールする法規範である行政法について講義する。

科目のねらい
<キーワード>
法治国家原理  行政体と行政機関・行政庁
行政による受益と侵害  行政行為
行政救済

<内容の要約>
 行政法というは、民法とか刑法とかのような一つのまとまった法律のことをいうのではなく、ある共通の性格を持ったたくさんの法律のことをまとめていう言葉である。それは国家や地方公共団体の行政機関を組織するとともに、その行政機関に事務を割り振り、権限を与え、さらに違法・不当な行政活動による権利利益の侵害から市民を救済するための法規を含む、様々な法律を指している。日本の法律の9割以上がその中に分類できるといわれるくらい、行政法はたくさんの法律からなっている。したがって、この授業では、一つの法律を最初から最後まで読んで解説するというのではなく、そのような行政法という用語でくくられる法律群に共通する概念や原理、そしてそれを動かす組織などを勉強することになる。

<学習目標>
行政法の条文を調べ、探し当てることができる。
行政法の基本概念を理解することができる。
現実に起きている、行政をめぐる諸問題について理解し、その法的な意味を理解することができる。

授業のながれ
行政とは何かについて講義する。立法や司法との違いを明らかにし、行政の特質について解説する。(テキスト『新基本行政法学(第2版)』の該当頁は2〜10頁。以下同じ。)
行政法とは何かについて講義する。行政に関わる法である行政法について、その分野ごとの特質について解説する。(11〜38頁。)
行政法の一般原則としての法治主義原則について解説する。(18〜28頁。)
行政法と市民・民事法秩序というテーマの下に、市民相互の間を規律する法である市民法ないし民事法と行政法との違いを通じて、行政法の特徴について解説する。(39〜57頁。)
行政体の意義とその種類その1として国を取り上げ、行政体とは何か、その行政組織がどのようなものかについて講義する。(60〜77頁。)
行政体の意義とその種類その2として地方公共団体を取り上げ、国との違いや国と地方公共団体との関係について講義する。(78〜91頁。)
行政機関について講義する。行政庁や補助機関等の種別や、省庁を指す場合の行政機関の意味について解説する。(92〜102頁。)
公務員について講義する。行政機関は国民に対して行政権限を行使する権力主体であるが、その地位にある公務員をめぐる諸問題を取り上げて解説する。(103〜114頁)
行政活動の特質について、特に裁量をめぐる問題を取り上げて解説する。(116〜126頁)
行政機関が行う立法について講義する。国会が作る法律の下に多くの政令、省令等の行政機関による立法が存在している。それらの特質を明らかにする。(127〜135頁)
行政機関が作る、法的性格を持たないとされる行政規則(内部基準、審査基準、処理基準、通達、訓令等)について解説する。(130〜134頁)
行政行為その1として、行政行為とは何か、その意義と分類について講義する。(135〜145頁)
行政行為その2として、行政行為の効力と附款について講義する。(145〜151頁)
行政行為その3として、瑕疵ある行政行為とその取消及び撤回について講義する。 (151〜159頁)
行政行為のまとめを行う。
行政契約について講義する。(160〜168頁)
行政計画について講義する。(169〜175頁)
行政指導について講義する。(175〜182頁)
行政の実効性の確保手段その1として、行政強制について講義する。(183〜195頁)
行政の実効性の確保手段その2として、行政罰について講義する。(196〜201頁)
行政の事前手続について講義する。行政機関が何らかの決定を行う場合、当事者の意見を聞くことが重要である。それが事前手続である。そうした手続の一般法である行政手続法について解説する。(204〜213頁)
行政救済について講義する。あわせて国家賠償法による損害賠償の仕組みを解説する。 (236〜242頁)
主に国家賠償法第1条に関わる国家賠償の具体的な事例を取り上げて解説する。(242〜250頁)
主に国家賠償法第2条に関わる国家賠償の具体的な事例を取り上げて解説する。(251〜257頁)
損失補償の仕組みについて講義する。(258〜268頁)
苦情処理とオンブズマン制度について講義する。(269〜275頁)
行政不服申立制度について講義する。(276〜291頁)
行政事件訴訟制度について講義する。行政事件訴訟の歴史的概観と現行制度における訴訟類型について解説する。(292〜309頁)
行政事件訴訟の中心をなす取消訴訟について、その訴訟要件を中心に解説する。(310〜329頁)
講義全体のまとめを行う。

準備学習の内容・学ぶ上での注意
 教科書をよく読んでくること。六法は基本的に必携であるが、PCやタブレット・スマホがあればネットで法令を調べることができる。また、新聞やテレビのニュースなどで行政が関わる社会問題に関心を向けてもらいたい。

事前事後 学習内容 時間数
事前 教科書を読んでおくこと 15
事後 教科書及び授業中に配布したレジュメにしたがって、授業内容を整理しておくこと 15

本科目の関連科目
「法と社会」,「法と人権」,「法律学」,「民法」,「労働法」,「企業法T」,「企業法U」

成績評価の方法
期末試験(筆記・Web・レポート・最終授業内) 80%
授業内でのレポート・課題等 20%
その他  0%
前期末のレポート及び学年末の定期試験の成績により評価する。

テキスト
■テキストを使用する
■レジュメを使用する
□未定 (最初の授業で指示する)
<著者>手島孝・中川義朗監修、村上英明・小原清信編 <テキスト名>新基本行政法学(第2版) <出版社>法律文化社



(C) Copyright 2019 Nihon Fukushi University. all rights reserved.
本ホームページからの転載を禁じます。