科目名 地方財政

単 位 数 学年配当 開講期間 担 当 教 員
2 3 前期開講 鈴木 健司

テーマ
地方財政制度を正確に理解し、効率性と公平性の視点から制度改革の是非について判断できるようになる

科目のねらい
<キーワード>
国と地方の財政関係  自治体の行財政運営
人口減少社会  経済のグローバル化
地方分権

<内容の要約>
 わが国の地方財政は巨額の負債を抱え、また人口減少や経済のグローバル化にも直面している。そうした社会経済条件下で、道路整備、警察、教育、福祉などの私たちに身近な行政サービスが、今の水準を維持して供給し続けられるのか、危ぶまれている。なぜ、そうなってしまったのか?今後、誰が、何を、どうすれば、自治体は住民福祉を向上し続けることができるのか?地方財政が直面するこうした問題の答えを考えるために、2つの論点に注目する。1つは「国と地方の財政関係のあるべき姿とは何か?」である。たとえば、国家財政は地方財政の歳出面にも歳入面にも関与しているが、どのような関与の仕方であれば、財政の役割―住民のニーズに合った公共サービスを供給する役割や、地域間の財政力格差を是正する役割―を最も果たすことができるのか?といった問題を考える。もう1つは「自治体の行財政運営の望ましい姿とは何か?」である。たとえば、しばしば自治体財政の効率化と言われるが、それは何を意味しているのか?また何をどうすれば効率化できて、住民が納得するような税の使い方になるのか?そしてその費用を地域住民がどのように負担するのが公平と言えるのか?公平な負担のあり方とは、地方税で負担することなのか?それとも使用料・手数料といった受益者負担で負担することなのか?といった問題を考える。以上の問題を基礎理論、歴史、国際比較、そして統計データなどの視点から捉えることで、地方財政の「あるべき姿」を判断するための考え方が身に付くように説明する。

<学習目標>
地方財政の複雑な制度を理解できる
地方財政制度の問題点を理解できる
(制度の)改革案の是非を判断する考え方を理解できる

授業のながれ
地方の実像・・・国、地方ともに歴史的にも国際的にも巨額の負債を抱えている現状や、人口減少などに直面している自治体の実像をデータに基づいて説明する。
国と地方の役割分担・・・財政の3機能とは何か?そのうちのどの機能が国の役割なのか?またどの機能が地方財政の役割なのか?これらの疑問に答えていく。
地方の予算制度・・・国の予算編成が自治体の予算編成に及ぼす影響を踏まえて、地方予算の民主的な意思決定過程の実態を理解する。
地方財政制度・・・国と地方の財政関係・・・ 中央集権的な地方財政制度(仕組み)について、国から地方への@事務配分、A税源配分、B財源移転の3つの視点から把握する。
地方分権改革・・・ 地方分権改革の目的やその手段を概説した上で、90年代以降の分権改革(地方分権一括法や三位一体改革など)を説明し、今後の改革の方向性について考える。
地方行財政運営の効率化(1):行政関与の適正化・・・行政が関与すべき範囲はどこまでか?行政関与が妥当なケースや妥当でないケースについて説明する。
地方行財政運営の効率化(2):行政効率の適正化・・・財政支出の効率化を図るために、行政サービスの生産・供給過程で注目すべきポイントがいくつかある。それらのポイントについて説明する。
地方税の体系・原則・・・地方税固有の原則について説明し、実際の地方税制が原則に照らしてどのように評価できるのか?を明らかにする。
地方税改革の方向性・・・地方税改革の方向性の1つとして、地域住民の受益と負担を一致させる改革が挙げられている。なぜ、その改革が求められているかを地方税制の仕組みやデータから説明する。
個人住民税を考える・・・所得課税である個人住民税の意義と仕組みを説明し、地方税原則に沿った制度改革の方向性を考える。
地方消費税を考える・・・消費課税である地方消費税の意義と仕組みを説明し、地方税原則に沿った制度改革の方向性を考える。
法人住民税と法人事業税を考える・・・地方法人課税である法人住民税と法人事業税の意義と仕組みを説明し、地方税原則に沿った制度改革の方向性を考える。
固定資産税を考える・・・土地や家屋などの資産に対する課税である固定資産税の意義と仕組みを説明し、地方税原則に沿った制度改革の方向性を考える。
地方債制度の意義・・・租税と公債の比較、国債と地方債の比較を通して地方債の特徴を明らかにし、その上で地方債制度の基本的な仕組みや意義について説明する。
地方債制度改革の考え方・・・戦後の地方債制度の歩みを踏まえた上で、近年の地方債制度改革、そして今後の改革の方向性について考える。

準備学習の内容・学ぶ上での注意
1.毎日のニュースや新聞などで扱われている都道府県や市町村の財政問題に関心を持ち、その内容を理解しておく。
2.授業中の私語は他の学生の迷惑になるので厳禁とする。

本科目の関連科目
基礎科目:「ミクロ経済学」   応用科目:「財政学」 「公共経済学」

成績評価の方法
課題・小テスト
レポート
中間試験
定期試験
そ の 他
15%
0%
0%
85%
0%
・出席カードで小テストを行い、評価対象とする(日時・回数は適宜)。
・成績は定期試験の点数と講義中に行う小テストの点数の合計点で評価する。
・就職活動など正当な理由で小テストが提出できない学生は、レポートで代替提出できる。

テキスト
□テキストを使用する
■レジュメを使用する
□未定 (最初の授業で指示する)
 



(C) Copyright 2014 Nihon Fukushi University. all rights reserved.
本ホームページからの転載を禁じます。