科目名 経済史

単 位 数 学年配当 開講期間 担 当 教 員
4 1 後期開講 丸山 優

テーマ
商業史を中心に古代から現代までの世界史の流れを跡づけるなかで、現代の市場経済の特質を浮き彫りにする

科目のねらい
<キーワード>
市場(しじょう)  共同体
産業革命  信用貨幣
大量生産体制

<内容の要約>
文明の発生から今日のグローバル化に至るまでの商業史(ならびに金融史)を地球規模で、かつ古代・中世・近世・近代・現代の通説的時代区分に基づいて、時には物語風の叙述を交えて、概説する。これによって、基礎的な経済用語の理解や、世界の各地域の間んの関係の理解を促したい。だが主眼は、経済学によってモデル化される〈市場経済〉が、産業革命と市民革命の二重革命の時代以降に成立した特殊な社会的現実に基礎を置くことを浮き彫りにすることにおかれる。〈市場〉対〈共同体〉の視角から、現代世界が「横倒しの世界史」としても理解されうることをも明らかにしたい。

<学習目標>
現代の市場社会が、共同体(市場と原理的に対立する制度)の解体の上に成り立つことを理解することができる
実在した市場が、浅薄なものから社会的連帯にも続くものまで多岐にわたり、ときに混在することを理解することができる
経済史が、政治や文化との絡み合いにおける社会関係・社会構造の歴史であることを理解することができる
世界のどこにでも存在する商品のなかに、その生産と流通を巡る社会関係を思い浮かべることができる
歴史上のバブルの発生・崩壊の説明を含めて、市場経済を仲立ちする貨幣の独自の働きを理解することができる

授業のながれ
市場と共同体
共同体の歴史的諸類型=段階
略奪と商品交換、あるいは市場(いちば)はいつ成立するか
貨幣の発生と鋳造制度、あるいは信用貨幣はいつ成立するか
アジア的共同体を基礎とする社会構成体と古代専制国家
古典古代的共同体を基礎とする社会構成体とパクス・ロマーナ
古代の地中海商業、主力商品と交易ルート
ゲルマン的共同体を基礎とする社会構成体(あるいは中世封建社会)への移行
「進んだアジア」と「遅れたヨーロッパ」との貿易、あるいはパクス・イスラーミカ
中世ヨーロッパの商業組織(遍歴商人、中世都市の成立、商人ギルド、大市と週市)
シェイクスピア「ヴェニスの商人」の背景
大航海時代、ポルトガルと東インド、スペインとアメリカ大陸、「価格革命」
17世紀のヨーロッパ商業とアジア、あるいはオランダとイギリスの東インド会社
18世紀のヨーロッパ商業とアジア、あるいは重商主義の時代
近世世界貿易の主力商品(コーヒー、茶、砂糖、綿織物)
イギリス産業革命と共同体の解体
社会構造と市場の激変、あるいは市民革命と産業革命の「二重革命の時代」
先進国に追いつき、追い越そうとするドイツなどのヨーロッパ諸国
先進国に追いつき追い越そうとするアメリカ合衆国
19世紀は自由貿易の時代、あるいはパクス・ブリタニカ
「金融資本主義」ならびに「帝国主義」の誕生
「豊かさの誕生」と大量生産体制の成立
ヨーロッパの正統商業組織を突き崩すアメリカの商業組織
第一次世界大戦後の世界経済の変容
大きな裂け目:20世紀世界大不況
1930年代のブロック経済
第二次世界大戦後の世界経済の変容
パクス・アメリカーナ、「アメリカニズム」と「反アメリカニズム」
ポスト大量生産体制と新興工業国群台頭との関連
まとめ:世界経済はどこに向かっているのか

準備学習の内容・学ぶ上での注意
 テキストを指定せず、代わりに毎回レジュメを配布する。いうなれば、教材研究の手の内を毎回明かすことになる。そこで、受講にあたっては教材研究につきあうつもりで、例えば世界史の教科書や西洋経済史・商業史・金融史などの概説書を用意して、講義内容がどの箇所に関連しているか、データ処理・分析が適切であるかどうか確認して、感想やコメントを寄せてほしい。
 定期試験の内容は、講義内容をどこまで正確に理解しているかということよりも、基礎的な知識をどこまで習得しているかを確認するものとならざるをえない。したがって、常に経済学辞典などを参照して、擁護の正確な理解に努めてほしい。

本科目の関連科目
マクロ経済学、ミクロ経済学
教職科目全般
社会学

成績評価の方法
課題・小テスト
レポート
中間試験
定期試験
そ の 他
0%
10%
30%
60%
0%
 定期試験で60点以上をとった者にはレポートや中間テストの成績を加味した成績評価を行い、取れなかった者には一切加点しないという意味で、定期試験の成績を最重要視する。

テキスト
□テキストを使用する
■レジュメを使用する
□未定 (最初の授業で指示する)
 



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