日本福祉大学 社会福祉学部

保健福祉学

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4
2
後期 (週 2 回)
田 中 千枝子

テ | マ 社会福祉・保健医療の連携・統合の原理と実践方法を学ぶ

講義のねらい
 保健福祉学は、 人間のライフ (Life/生命・生活・人生) とヘルス (Health) を巡る社会福祉学です。 社会科学である福祉の価値と知識・技術を包括した実践的視座と方法論をもとに、 保健学・医学をはじめとした 「人と環境」 「Bio-psycho-social-existential」 に関わる諸学問と学際的展開をします。 本講義のねらいは @保健福祉学の考え方を醸成し、 リアリティーを持って現実を捉える A保健福祉学に関わる現実と当事者の痛みに敏感になり、 問題構造や解決の方向性について自分の意見を持つ B問題解決のための知識や技術の重要性を理解し、 それらの具体的修得に向けて能力育成の学習計画をたてることになります。

講義のながれ
1. オリエンテーション 授業契約 「学ぶということ」 アイスブレーキング
2. 社会福祉学とは何か 保健福祉学とは何か 「幸せな暮らし」 のシミュレーション
3. 人生/生活設計とライフとヘルスに関わる出来事の関係分析 ディスカッション
4. 人と環境 ライフとヘルス その枠組みと関係性の理解 作業ディスカッション
 エコシステムとしての理解枠組み 因果律と循環律 事例 「ひきこもり」
5. 当事者のライフとヘルスの理解 その人のストレングス ストーリーを聞く
 シナリオ事例 ICF と QOL 分析 「車椅子での生活」
6. ライフとヘルスを社会との関係で考える 憲法 法律 社会保障制度 サービス 社会資源 事例分析 エコマップの作成 「情報・学習保障」
7. ライフとヘルスを支援する保健・医療・福祉の構造分析 作業ディスカッション
 「支援する」 とは何か 保健・医療・福祉の支援の視点 共通点と相違点
8. 事例によるライフとヘルスの分析 ビデオ レポート課題@
 「疾病・医療過誤・制度の不備」 保健医療福祉システムが生み出す当事者性
9. 歴史と地域文化にみるライフとヘルス 保健・医療・福祉の展開 1
 ヒポクラテス流パターナリズムと当事者のオートノミー
 私の地域と歴史におけるライフとヘルス ディスカッション
10. 歴史と地域文化にみるライフとヘルス 保健・医療・福祉の展開 2
 ビデオ 「朝日訴訟」 をみて、 ディスカッション
11. 社会政治経済状況と保健・医療・福祉への影響
 新聞記事と統計の分析作業 医療経済と保健医療福祉の課題
12. 健康転換の諸相による保健・医療・福祉の変化と課題
 レポート課題A 「今後の高齢者の保健・医療・福祉のあり方を考える」
13. 保健医療福祉の価値と倫理 1 ライフの価値と専門性のスタンス
 事例のロールプレイ 「堕胎」 命の価値と自己決定をどう考えるのか
14. 保健医療福祉の価値と倫理 2 ヘルスの意味と専門性のスタンス
 資料の分析とディスカッション 「ハンセン病者」 のライフとヘルス
15. 保健医療福祉の実践上の倫理的ジレンマとその解決の方向性 1
 保健・医療・福祉の価値構造とその関係性 「虐待」 のシナリオ事例
16. 保健医療福祉の実践上の倫理的ジレンマとその解決の方向性 2
 事例のロールプレイ 「神経難病患者」 のライフとヘルス レポート課題B
17. 保健・医療・福祉の協働 1 保健・医療・福祉のライフとヘルスに対するスタンス
 カンファレンス・シミュレーション 「アルコール依存症」
18. 保健・医療・福祉の協働 2 保健・医療・福祉のライフとヘルスに対するスタンス
 カンファレンス・シミュレーション 「糖尿病患者」
19. チームアプローチの型とその変遷 C.ジャーメインのコラボレーション
 シナリオ事例の分析 ディスカッション 「危機介入」 と 「退院援助」 事例の比較
20. 保健・医療・福祉・その他の組織と専門性に対するスタンス
 シナリオ事例の分析 ディスカッション 「リハビリテーション医療と社会復帰」
21. ネットワーキング 1 当事者への支援 セルフヘルプとサポートグループ
 ロールプレイ事例 「HIV 感染者 NPO の立ち上げ」
22. ネットワーキング 2 地域連携 リサーチ&アクション
 記事資料の分析 ディスカッション 「透析患者の受療権保障」
23. まとめ 1 保健医療福祉のソーシャルワーク ミッション ディスカッション
24. まとめ 2 保健医療福祉のソーシャルワーク テーキングストック
レポート課題C

学ぶ上での注意・担当教員からの希望
 本講義ではグループ・ディスカッションなど意見や表現を求める機会が多くあり、 自分の可能性にトライする姿勢を歓迎します。 また関連する図書や文献、 新聞記事などを前もって広く収集しておくこと。 そうした努力が評価できる形でレポート課題を出します。

成績評価の方法
 出席確認のリアクション・コメント 20% (欠席 1 回で 1%マイナス) 
 小レポート 15%×4 回=60%
 ロールプレイ、 グループ・ディスカッション等の参加度 20%

テキスト 田中千枝子 「医療福祉論」 (ヘルスシステム研究所)
参考文献は授業回ごとに提示します。



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