日本福祉大学 社会福祉学部

社会福祉発達史 (保)

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4
2
前期 (週 2 回)
伊 藤 文 人

テ | マ 近代資本制社会における社会福祉の歴史的形成過程と機能の把握

講義のねらい
 社会福祉の歴史的な形成過程を理解せずに、 現代 (現在) の社会福祉の諸課題を解くことは難しい。 社会福祉の歴史を理解しようとするならば、 その前提として、 近代資本制社会および近代市民社会、 すなわち 「近代社会」 とはどのような社会であるのかを理解しなくてはならない。 社会福祉は、 この 「近代社会」 が生み出す構造的な社会・生活問題に対応するために生まれた社会的制度や実践の総称であるといえるが、 歴史的には宗教や個人が果たした慈善的なケア、 各種の職域団体が果たした社会 (連帯) 的ケアおよび中央集権的な国家が直接主体となった国家的ケアの混成物であるともいえよう。 社会福祉の内容は、 その時代の政治経済文化の背景と密接に関連しており、 そこから量的・質的な変容を遂げて現在に至っている。
 本講義では主にイギリスの社会福祉の歴史的展開を中心にしながら考察を進めるが、 個別の他の先進諸国にも共通する要素を最大公約数的に把握しつつ解説していきたい。 その際、 前半は 「社会福祉の通史」 を扱うことにし (骨組:基礎編)、 後半では、 基礎編の理解の上に立って、 社会福祉発達史を学ぶ上で重要となった出来事やトピックを別様な視点 (解釈) から捉えてみたい (肉付け:応用編)。 つまり前半で 「社会福祉の歴史」 の大まかな輪郭を概説し、 後半は、 通史的展開を更に深く理解するための 「批判的な視点」 を解説していくことにする。 ただし、 基礎編の理解度 (進捗度) によって、 応用編を実施するかは講義中に確かめていくことにしたい。

講義のながれ
(骨組み:基礎編)
1 . 「社会福祉発達史」 という講義についての 「アレコレ」:イントロダクション
2 . 社会福祉史入門 −救済史としての社会福祉の歴史への考え方 (その 1)
3 . 社会福祉史入門 −救済史としての社会福祉の歴史への考え方 (その 2)
4 . 社会福祉史入門 −救貧法の形成・展開・崩壊過程 (イギリス編)
5 . 社会福祉史入門 −      同 上      (日本編)
6 . 前近代社会の生活問題と福祉的萌芽:古代と中世社会における
7 . 近代社会の登場 :資本制社会とエリザベス救貧法
8 . 近代社会の登場 :産業革命および市民革命と新救貧法体制
9 . 民間社会福祉の興隆:COS とソーシャル・セツルメント
10. 貧困観の旋回:社会的貧困観念の構想
11. 王命救貧法委員会と自由党社会改革:社会保険サービスの登場
12. 総力戦と社会福祉・福祉国家化:第一次世界大戦から 1940 年代改革
13. 戦後の社会福祉史:福祉国家黄金時代と斜陽・再編 (各国共通)
14. 歴史講義の要約・整理
(肉付け:応用編)
15. 資本主義社会の登場:贈与的枠組みの崩壊と交換体制への移行
16. 貧乏と貧困:近代労働社会と近代公的扶助
17. 国民国家の誕生:幻想の共同体と国民皆保険・皆年金
18. 人権と社会福祉:自然権、 市民権、 公共性
19. 女性と社会福祉:ベヴァリッジ型社会保障、 ジェンダー、 アンペイド・ワーク
20. 福祉国家の危機? −現代社会における福祉国家の変容を見据えて
21. 予備
22. 予備
23. 予備
24. 予備

*21 回から 24 回は、 各項目が一回読みきり完結しない関係上設けてある。
*講義の進捗状況に応じて、 内容が適宜変更される場合がある。

学ぶ上での注意・担当教員からの希望
1) 受講生の理解度によって講義の進み具合は異なっていくだろうが、 積極的に講義に取り組む学生の理解度を基準に進めて行きたい。 人によっては、 早く感じられたり遅く感じられたりするだろう。
2) できるだけ講義は静かに聴いて欲しい。 私語をされる方は教室外でどうぞ。
3) 講義開始後の退席や入室はできるだけしないでほしい。 ドアが開いたり閉まったりすると、 講義がストップしてしまう (気が散る)。 理由はどうであれ退席する分には構わないが、 一度退席したら戻ってこないでほしい (真面目に聴講している受講生に失礼である)。
4) 講義中、 講師が直接マイクを学生に向けることがある。 講義はインタラクティブ (双方向的) に実施するので、 マイクを向けられた学生はそれなりに考える努力をすること。 過度の沈黙や 「分かりません (の連発)」 は大学では通じない。
5) 講義中に、 水分補給や飴をなめることは可。 ただし、 ガムや食事をすることは不可 (後者は臭いが籠もるため)
6) 積極的に質問や意見を言って欲しい。 笑いも含めて、 楽しく講義が受講できるように最大限の努力を払うつもりである。 それには受講生の主体的な協力が必要になる。 「身によく付く」 歴史講義にしたいので協力してほしい。
7) 課題レポートが本試験受験の資格要件となるが、 歴史アレルギー (歴史嫌い) を克服していく上では有効だと確信できたので今後も実施していく。 どのような事柄にも歴史があり、 受講生がこのレポートを通じて色々なことを発見したり認識したりする上での手助けになってくれるだろう。 勿論、 本講義への架橋の役割も果たしてくれると期待している。
8) 障害など、 特別な配慮を要する受講生は申し出て欲しい。 定期試験対策も含めて早めに対処したい。
9) ブラックボード (Bb) の利用について
@講義に必要なレジュメや資料を添付しておくので各自ダウンロードして講義に臨むこと。 毎回講義でいちいち配布しないので要注意。
A必要なレジュメは一定期間はアップするが、 時間が経過したものについては添付を中止するので注意 (その都度確認すること)。 添付が中止されたレジュメ等は、 どのようなことがあっても、 「再発行はしない」。
B期末試験方法 (傾向と対策) と必要な 「指定持込用紙」 も配布するが、 これは課題レポートを提出した受講生のみが受け取れる。
C課題レポート (第 9 週までに提出) を提出し忘れた者は、 定期試験は受験できない。 締切日と時間を厳守すること (どのような理由があろうと締め切りに遅れた場合は不可)。 言い換えると、 レポートを提出する意思のない受講生は、 棄権とみなされる、 ということ (履修しても単位認定はない)。 「課題レポート」 の内容・形式についても、 ブラックボードに添付しておくのでよく見ておくこと。

成績評価の方法
1) リアクション・ペーパー (出席、 疑問・意見・異見・要望) などを 4〜6 回提出
2) 課題レポート (形式重視:後述) を第 9 週終了までに提出すること (授業で回収する)。 このレポート提出のない学生の期末試験 (本試験) の受験資格は自動的に剥奪される。 受験資格がなくなった者の学籍番号は公表する。
3) レポートを提出した受講生のみが、 本試験受験資格あり (試験形式や方法は別途提示する)。

テキスト 高島進 (1995) 『社会福祉の歴史』 ミネルヴァ書房−必ず受講生全員が 「購入」 した上で、 講義前後に読む (読み直す) ことが、 講義理解のための必要条件である。 なお、 テキストを一応読んだものとして講義を進める。 本テキストそれ自体は講義では使用しないが、 講義内容を相対化する意味で 1 冊は読んでおいて欲しい (講義関連図書もあわせて参照のこと)。
<レジュメその他> 講師作成のレジュメを配布する予定であるが、 これは担当教員の科目別ブラックボード (Bb) に添付しておくので、 それをダウンロードしておくこと。 授業ではいちいち配布しない。 なお、 基礎年表、 統計、 当時の写真・挿絵などは、 講義で配布する。



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