日本福祉大学 社会福祉学部

現代社会と女性

単位数 学年配当 開講形態 教員名
2 2 後期 池 谷 壽 夫

テ|マ 現代社会におけるジェンダーと女性差別

講義のねらい
 現代社会において男女は本当に平等なのだろうか? 私たちはややもすると社会や物事を 「男性のメガネ」 をかけて見ていないだろうか? 本講義では、 まず社会、 学校、 家族、 親密な性的関係における女性差別 (とその裏返しとしての男性差別) の実態とその問題を考えていこうと思う。 その上で、 「女らしさ」 「男らしさ」 にとらわれないジェンダーフリーな生き方を皆さんと一緒に考えてみたい。 女性問題を考えることは男性問題を考えることであり、 自分らしい生き方を考えることでもある。

講義のながれ
1. 序 章 本講義のねらいと意義、 あなたのジェンダーチェック
  第 1 章 「ジェンダー」 とはなにか
  セックス、 セクシュアリティ、 ジェンダー
   1) この世には男性と女性しかいないの?
  多様な性のあり方
2.  2) 男女の違いはあるの?
   3) 「ジェンダー」 概念の提起されたことの意義
3. 第 2 章 ジェンダーはどのようにして作り出されたの?
  ジェンダー再生産のメカニズム
   1) 3 つの支配と 「家父長制」
   2) 男性による女性の労働力に対する支配
4.  3) 近代家族とジェンダー再生産のイデオロギー
    性別役割分業と 「母性」
5. 第 3 章 フェミニズム運動の歴史と課題
   1) 女性問題とは何か、 性差別とは何か
   2) フェミニズム運動とその歴史
   3) 男女共同参画社会基本法の意義と課題
6. 第 4 章 なぜ男性は家事・育児に参加しないのか
    育児不安、 幼児虐待の背景
   1) 性別役割分業体制のもとでの男性の成育
    共依存
   2) 孤立した子育て
    子育ての社会的ネットワークの崩壊

7.  3) 母性神話と3歳児神話
8. 第 5 章 なぜ夫 (恋人) が暴力を振るうの?
  DV を考える
   1) 女性に対する暴力とは何か
   2) ドメスティック・バイオレンスとは何か
   3) ドメスティック・バイオレンスの背景と原因
  女性に対する構造的暴力
9. 第 6 章 学校は男女平等か
  「男女共学」 のもとでの女性差別
   1) 学校教育におけるジェンダー問題を考える基本的視点
   2) 隠れたカリキュラム
10.  3) 教科書の中のジェンダー、 授業の中でのジェンダー
   4) 教員の男女平等意識
11. 第 7 章 セクシュアリティとジェンダー
  性的関係に潜むジェンダー
   1) 少女・少年雑誌の中のジェンダー
   2) AV におけるジェンダー
12. 第8章 なぜ男性が問題か
   1) 成育過程での 「女らしさ」 「男らしさ」 の葛藤
   2) 「ホモソーシャル」 な友人関係
   3) ジェンダー相補原理のもとでの 「男らしさ」 の強化
   4) 感情労働と能力主義のはざまで
13. 終章 ジェンダー・フリーな生き方とは

学ぶ上での注意・担当教員からの希望
 この授業では、 何よりも自らの生き方を謙虚に考えることが求められます。 自らの中にあるジェンダーにいかに気づくか、 そしてどう実際生活のなかでジェンダー・フリーな生き方をするかが問われます。 ですから日ごろ生活している中にあるジェンダーに敏感になることが大切です。

成績評価の方法
感想文等の日常レポートとレポート試験の両方で評価します。

テキスト 池谷壽夫 『セクシュアリティと性教育』 青木書店
※井上輝子・江原由美子編 『女性のデータブック (第 3 版)』 (有斐閣) を必携してください。



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