外 国 史 |
単位数 | 学年配当 | 開講形態 | 教員名 |
---|---|---|---|
2 | 2 | 集中 | 高 木 勇 夫 |
テ|マ | ヨーロッパ人の身体的経験を歴史的に再検討する |
講義のねらい |
現代人は自分自身の身体についてじっくり考える余裕がないだけでなく、 それを語る言葉すらあたえられていない。 具合が悪くなって初めて健康な身体の有難味が分かるという体たらく。 皮肉なことに 「健全な精神は健全な身体に (宿かれし)」 という金言が、 近代人の身体を前期的で粗暴な資本主義社会の論理に従わせてきた。 最も身近なものでありながら最も疎遠となってしまった身体をめぐる観念の歴史をヨーロッパに例をとりながら検討していく。 重点を置くのはフランスだが、 この国の経験はあくまで参照枠として触れられるだけである。 公衆道徳や衛生観念など、 従来の国民的歴史では語られてこなかった抽象的な概念を好んでとりあげるように思われるだろうが、 問題となるのはつねに学生諸君の<からだ>そのものである。 諸君の経験の背景を知るために近代日本史の展開にも言及する。 とくに今年度は 19 世紀のブルジョワ社会から 20 世紀の大衆社会状況への移行、 および両者の文化的混迷の打開策にまで視野を広げていくつもりである。 これまで学問的考察の対象と見なされなかった身体史の成果を吟味するとともに、 21 世紀の社会にたいして諸君の一人ひとりが貢献できることを自覚してほしい。 |
講義のながれ |
1 .
受講の確認とオリエンテーション 2 . 精神と身体 3 . ジムナストの系譜 4 . フランス革命と身体 5 . 革命史とジェンダー論 6 . 監獄史とボールゲーム論 7 . 人体計測術 8 . 清潔イデオロギー 9 . フランス語のイズム 10. 体育学の実践課題 11. 近代スポーツ批判 12. まとめとテスト |
学ぶ上での注意・担当教員からの希望 |
哲学思想の対極に位置する身体論・身体史は文献的調査に馴染みにくいため余計にさげすまれてきた感があるが、 史料の読み方次第で身体感覚を意識の中に呼びさますことができる。 講義で触れた文献には必ず目を通し、 教師とは異なる視点から読み解いてほしい。 |
成績評価の方法 |
出席点 10 点、 身体史上の用語の解説に 40 点、 小論文形式の論述に 50 点を配当する。 |
テキスト | 高木勇夫 『フランス身体史序説 〜 宙を舞う〈からだ〉』 叢文社 |
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