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医療経済学 |
単位数 | 学年配当 | 開講形態 | 教員名 |
---|---|---|---|
4 | 2 | 通年 | 大 内 講 一 |
テ|マ | 社会制度としての医療と産業としての医療 |
講義のねらい |
わが国の医療経済学の歴史は浅く、 このため医療費抑制の手法あるいは医療機関経営のノウハウを伝授するものとの誤解がある。 医療経済学は資源を効率的に配分し、 医療サービスを安定的に供給することを目的とする経済分析である。 医療サービスは市場原理によってのみ需要供給が決定されるわけではなく、 供給側に対しては資格制度等の規制があり、 他方では医療保障制度を整備して消費からの排除を回避する政策が採用されている。 最初に医療の経済的分析の前提として主要国の医療提供システムと医療保障制度の概要を述べる。 マクロ的視点から国民医療費 (保健医療支出) を概観し、 医療サービスと対価 (医療費) の流れを明示するとともに、 医療保障の費用負担と受益の関係を明確にしておく。 料金が資源配分のシグナルとして作用するので、 ミクロ的視点で診療報酬・薬価の問題点を指摘し改革の方向性を探る。 最後に、 予算配分等の政策的観点から医療・福祉の生産波及効果を産業連関分析に計測する。 |
講義のながれ |
前 期 (1) 価値財としての医療サービス (2) 主要国の医療提供システム (3) わが国医療提供システムの特殊性〜 ミニ病院としての診療所、 医療分業の遅れなどの機能未分化 (4) 主要国の医療保障制度 (5) マクロの医療経済分析 疾病別・制度別・財源別の国民医療費、 OECDの保健医療支出推計基準 後 期 (6) ミクロの医療分析 1) 医療サービスの需要 不確実性、 情報の非対称性 (逆選択・モラルハザード) と公的医療保険 2) 医療サービスの供給 市場構造・市場行動・市場成果 3) 医薬品の製造と流通 4) 診療報酬と薬価〜出来高払と包括化 (7) 医療・福祉の生産波及効果 |
学習条件・履修上求められるもの |
医療、 介護の現状を理解するために新聞記事等を注意深く読まれたい。 高齢者医療は年金を始めとする高齢者福祉制度と密接に関連するので、 併せて社会保障論を受講することが望ましい。 |
成績評価 |
自己選択テーマのレポート (3600字程度) と論述試験による。 細部の知識よりも医療の現状と課題、 診療報酬制度・薬価制度の問題点などについての大局的な理解度を重視する。 |
テキスト | 初学者対象の適切な文献がないので、 オリジナルのテキストを5月中旬までに作成する予定 (大学生協にて有償販売)。 数式表現に抵抗がない学生には漆博雄編著 『医療経済学』 (東京大学出版会) を薦める。 |
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