保健福祉学 (夜)

単位数学年配当開講形態教員名
42通年牧 野 忠 康

テ┃マ社会福祉・保健医療の統合の原理と実践方法を学ぶ
 −−−21 世紀の地域保健医療福祉のあり方を考える−−−

講義のねらい
1. 前期:保健福祉学原論
 保健福祉学は、 社会福祉学・社会科学の認識論や方法論を基礎にして、 保健・医療の原理を踏まえた統合的な実践の学問である。 保健福祉学は、 福祉システム専攻と保健福祉学科の基幹科目の一つでもある。 保健福祉学の目的、 学としての構造、 対象、 実践方法およびマンパワーと社会資源、 保健福祉システム、 保健福祉の課題と実践や具体的かつ日常的な保健福祉問題の検討や研究を通して少子・高齢社会のわが国や世界諸地域での古くて新しい 「貧困」 問題などの認識や本質的理解の方法の理解、 人びとが人間として心身共にいき活きと生きそして人間らしく死ぬことの条件づくり、 などの基本を理解することを目的とする。
2. 後期:保健福祉方法論/保健福祉学各論
 保健福祉学の対象領域である子育てを含む家庭・学校保健福祉、 環境問題を含む地域保健福祉、・労働問題を含む職域保健福祉を中心に、 問題把握と問題解決の方法論としての社会疫学の方法、 地域住民主体の健康学習方法論、 地域住民参画・参加の保健福祉計画・政策づくりの方法と実際、 保健医療福祉実践の方法としてのチームワーク論やコーディネート/ケアマネジメントの方法と実際、 保健福祉実践事例研究により健康と社会および生活問題との関係や問題創出過程の理解、 アセスメント、 ケアマネジメントの実際など問題解決および予防などの基本的かつ統合的・実践的な理解をすることを目的とする。

講義のながれ
 @ 保健福祉学原論
1. 1)  「保健福祉学」 講義のオリエンテ−ション
保健福祉学の学問的・実践的な目的は生命・生活・生産という人間の社会的営みを 「衛 (まもる)」 ことである−そのために何を学ぶのか
2. 2)  保健福祉学序論
人びとの生命 (いのち)・生活・生産 (労働) を衛 (まもる) 保健福祉学の構想と構造を考える
3. 3)  健康と病気の社会科学 1
薬害エイズ事件・薬害ヤコブ病事件等の薬害事件を学び再発予防を考える
4. 4)  健康と病気の社会科学 2
水俣病事件等の環境破壊による人間の健康破壊事件を学び再発予防を考える
5. 5)  健康と病気の社会科学 3
職業病等の労働問題としての健康破壊を学び再発予防を考える
6. 6)  健康と病気の社会科学 4
病人史・生活史/患者学に保健医療福祉の認識論を学び自己実現を目指せる健康生活を考える
7. 7)  健康と病気の社会科学 5
医療と保健福祉保障政策の潮流を学び医療費抑制政策と介護保障を考える
8. 8)  地域生活と保健福祉実践
在宅ケア・地域ケア・ケアマネジメントと介護保険法 (1)
9. 9)  地域行政と地域保健医療福祉力
在宅ケア・地域ケア・ケアマネジメントと介護保険法 (2)
10. 10) 地域住民の 「生活の質 (QOL)」 と保健福祉
個人の生活史/生活様式 (ライフスタイル)/自己実現と保健福祉
11. 11) 地域保健医療福祉システム
基本的人権としての生存権・生活権・幸福権−社会保障・社会福祉・公衆衛生
12. 12) 社会開発・国際保健福祉
地球になぜ貧富の差が生まれるのか/その解決には何が必要なのか
13. 13) 前期の講義の中間総括と後期の学生参加型学習のための履修課題の提起
 A 保健福祉方法論
14. 1) 保健福祉方法論 1
個別援助・集団援助の方法−特に保健福祉実践の方法としての面接方法論を中心にインフォームドコンセント&チョイスの自己決定の原理を踏まえて
15. 2) 保健福祉方法論 2
コミュニティ・ワーク/ソーシャルアクションの方法
16. 3) 保健福祉方法論 3
保健医療ソーシャルワーク過程とケアマネジメント/エンパワメント
17. 4) 保健福祉方法論 4 (チームワーク論)
チームケアでのチームワーク技術論/ケアカンファレンス・ケーススタディの技術論
18. 5) 保健福祉方法論 5 (地域診断・社会疫学の方法論入門)
地域の社会福祉・保健医療の問題の科学的・実証的な把握と問題解決方策の検討方法
 B 保健福祉各論
19. 1) 地域での保健・医療・福祉の連携・統合化のケーススタディ
長野県南佐久郡:長野県厚生連・佐久総合病院−メディコ・ポリス構想を読み解く
20. 2) 高齢者のための地域保健福祉実践のケーススタディ
老人保健福祉計画/介護保険保健福祉事業計画で高齢者保健福祉を読み解く
22. 3) 障害者のための地域保健福祉実践のケーススタディ
障害者の生活実態から地域保健福祉を読み解く
23. 4) 母子のための地域保健福祉実践のケーススタディ
幼児虐待や母子の生活実態から地域保健福祉を読み解く
24. 5) 児童・生徒ための学校保健福祉実践のケーススタディ
少年の生活実態から学校保健福祉を読み解く
25. 1) 保健福祉実践方法論特論
生命・医療倫理を考える (1) −生殖医療と保健福祉学
26, 2) 保健福祉実践方法論特論
生命・医療倫理を考える (2) −移植医療と保健福祉学
27. 3) 保健福祉実践方法論特論
生活習慣病と保健福祉学
28. 4) 保健福祉実践方法論特論
感染症と保健福祉学
29.  試験期間に期末試験  (変更することもある。)

学習上の留意点
 保健福祉学の原理・原則を踏まえた上で問題解決能力と課題遂行能力を身につける必要がある。 出席を重視し、 学生参加と体験学習の講義を工夫する予定である。 履修生は、 「講義のながれ」 に示したシラバスを参考に講義中に示した課題や予復習を行って講義に出席すると、 多面的な実力がつくこと請け合いである。

成績評価
 評価は、 出席確認を兼ねる感想文の提出 5 回、 リポ−トの提出 2 回および期末試験による。
 配分は、 感想文の提出 1 回分 2 点計 10 点、 リポ−ト評価 2 回分 20 点計 50 点を参考点とし、 後期期末試験 100 点で評価する。 参考点は、 評価の際に加味する。

テキスト1. 大学の生協で頒布する 「2001 年度保健福祉学講義レジュメ」 と講義時間に配布する資料等のプリントによる。
2. 必要に応じて指定参考書や参考図書等を選定して示し、 講義を補完する。
3. 新聞を読んで 「保健福祉学」 の課題と思われる記事をスクラップしておくこと。


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