社会保障論

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4 2 土曜日集中 大 内 講 一

テ┃マ  社会保障制度発展の経緯と 21 世紀の課題

講義のねらい
 社会保障は一部の貧困者を対象とした救貧制度から全国民を対象とした普遍的な制度へと発展した。 第 2 次世界大戦後の社会保障の発展により安定した社会が構築されたが、 近年における急速な少子高齢化の進行と経済の低迷によって負担と給付のバランスが崩れ、 大幅な制度改革が要求されることとなった。 社会保障の発展過程の考察を通じてその目的と機能を理解するとともに、 日本と英独仏の制度比較を行う。 これらの基礎知識を会得した上で社会経済の現状を客観的に分析し、 民間セクターとの機能分担も含めた中長期的な社会保障改革の方向について検討する。
 教育、 医療、 社会保障などの公共的部門の活動について生産波及効果 (産業連関分析) その他の経済分析を行い、 社会保障支出は浪費ではなく投資的な支出であることを確認する。 また、 税と保険料の差異を明確にし、 社会保障負担のあり方についても検討する。

講義のながれ
前期
・社会保障の発展過程を、 エリザベス救貧法、 ドイツ社会保険の創設、 ベバリッジ改革を中心にたどる。
・工場法、 健康保険法制定を中心に、 戦前における日本の社会保障施策を概観する。
・社会保障制度審議会の勧告と戦後の制度整備、 第 1 次石油危機後の制度見直しを概観する。
・日本と英独仏の現行制度比較を行う。
後期
・少子高齢社会の諸問題を考察する。
・社会保障改革、 とくに医療保険改革の動向を解説し検討する。 主たるテーマは以下の事項である。
 料金規制と診療報酬・薬価の改革
 年齢リスク負担と高齢者医療制度
 社会保険と 401K 等の民間保険
・社会保障の経済分析を行う。
 生産波及効果、 マクロの所得分析
 税と保険料

学習上の留意点
 社会保障の基礎知識の習得と併せて政策課題となっている医療保険改革についての検討も行うので、 関連記事を注意深く読むなど直近の動向に関心を払われたい。
 

成績評価
 前期はレポート、 後期は論述試験とする。 細部にわたる知識よりも制度の目的と機能、 枠組、 財源負担と給付の関係、 現状と課題等についての大局的理解度により評価する。
 

テキスト  特に指定しないが、 一圓光彌 『社会保障論』 (誠信書房、 1999 年) をベースとする。 『社会保障年鑑』 (東洋経済新報社)、 『保険と年金の動向』 (厚生統計協会) などで直近の動向をフォローする。


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