西洋経済史

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4 2 後期 安宅川 佳 之

テ┃マ 産業革命以降の欧米経済の歴史を覇権の交替、 長期経済変動として捉える

講義のねらい
 高失業率、 超低金利と言う未曾有のデフレ現象に見舞われている日本経済における問題意識 (如何にすればデフレから脱却できるのか) に基づいて、 18 世紀末以降の欧米経済の歴史を振り返る。 19 世紀のイギリスの覇権が如何にして形作られ、 守られて、 衰退していったのか。 20 世紀アメリカの時代がどの様にして生まれ、 維持されきたか。 その間に、 世界経済を見舞った 3 度のデフレ (飢餓の 1840 年代、 19 世紀末世界大不況、 1930〜40 年代の世界大恐慌) をどのようにして克服してきたか。 これらの問題について現在的視点から分析を加えたうえで、 日本経済に再生の可能性があるか、 その方法について論じる。
 歴史を論じることの中から、 現在の経済問題に対する認識を深め、 歴史的視点から経済問題を捉える場合の方法論を示したい。

講義のながれ
序. 現在の世界経済・日本経済の現状と問題点
 1. 歴史を如何に捉えるか
(1)マルクスの歴史観、 (2)マックス・ヴェーバーの歴史観、 (3)ヒックスの歴史観
 2. 趨勢と循環
(1)経済発展段階、 (2)コンドラチエフ長期波動
 3. イギリスの時代
(1)産業革命とナポレオン戦争の時代、 (2)ウイーン反動体制と工業化のひずみ、 (3)飢餓の 40 年代と自由貿易体制生みの苦しみ、 (4)パックス・ブリタニカ、 パーマストンの時代、 (5)ビスマルクとグラッドストーンの時代、 (6)イギリス帝国主義の時代 (チエンバレンの保護貿易主義)、 (7)社会主義思想の台頭 (ロイド・ジョージの社会政策)
 4. 覇権の交替 (リーダーシップ・クライシス)
(1)第一次大戦・イギリス経済の衰退と金本位制の崩壊、 (2)重化学工業化で世界経済を制覇したアメリカ、 未曾有の株式ブームと大暴落
 5. アメリカの時代
(1)大恐慌とニューディール政策、 (2)集団主義と第二次大戦、 (3)パックス・アメリカーナと政界経済の復興、 (4)日独敗戦国の急成長、 (5)米国工業力の低下とドル為替本位制の動揺、 (6)オイルショックと先進国サミット、 (7)新保守主義の経済政策 (レーガノミックスと強いアメリカ)、 (8)東西合流とアメリカ単独覇権の時代、 (9)ニューエコノミーの時代
終. 日本の時代は去ったか

学習上の留意点
 歴史観は人によって違う。 以下に掲げた参考文献等から、 自分自身の世界経済史観を作り上げて行こう。 「歴史は現在を映す鏡である」。
参考文献: 『世界の歴史』 (中公文庫 10〜16)、 『世界の歴史』 (河出文庫 15〜24)、 『西洋経済史』 神武庸四郎・萩原伸次郎著 (有斐閣 2000)、 『経済大国の盛衰 300 年』 浅羽良昌 (東洋経済新報社 1997)、 『イギリス近代史』 村岡健次・川北稔編著 (ミネルヴァ書房 1992)、 『大国の興亡』 ポール・ケネデイ著 鈴木主税訳 (草思社 1992)、 『世界経済の成長史 1820〜1992』 アンガス・マデイソン著 金森久雄監訳 (東洋経済新報社 2000)、 『アメリカ経済の変貌』 関下稔・坂井昭夫編著 (同文館 2000)、 『世界経済の長期ダイナミズム』 篠原三代平 (TBS ブリタニカ 1991)、 『世界経済史』 石見徹 (岩波書店 1999)

成績評価
論述試験によって、 後期末にまとめて行う。

 

テキスト 安宅川佳之 『コンドラチエフ 波動のメカニズム』 ミネルヴァ書房、 2000 年


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