医療政策論

単位数 学年配当 開講形態 教員名
4 2 通年 高 木 安 雄

テ┃マ 健康の維持・向上とそのためのサービス・財源調達の現代的課題

講義のねらい
 今日の医療政策は大きな転換期にある。 戦後の国民皆保険は、 「いつでも、 どこでも、 誰でもが安心して医療を受けられる」ことを目標としてきた。 しかし、 高齢化と低成長経済、 疾病構造の変化の中でこれまでの目標の見直しが迫られている。
 すなわち、 臓器移植など医療技術の進歩と財源負担のあり方、 感染症から生活習慣病 (成人病) への変化、 患者の自己決定と QOL (生活の質) の向上に対応した医療のあり方など、 医療制度に関わる 「人」 「物」 「金」 のすべてが転機にある。
 とくに、 高齢者の長期ケアのための介護保険制度の創設、 エイズや国際化の中での輸入感染症の増加など、 国民の健康の維持と増進を目標とする医療政策は戦後、 どのように展開されてきたのか、 今日どのような課題を抱えているのかを考えていく。

講義のながれ
前期 (医療政策と財源)
(1) 講義のオリエンテーション(1 回)
(2) 医療政策の構成要素−需要 (患者) と供給 (医師や病院) (3 回)
(3) 医療政策における需給調整の方法(2 回)
(4) 医療保険制度の歴史−財源調達と支払い方式 (4 回)
(5) 医療保険制度の課題と展望(3 回)
(6) 医療保険をめぐる世界の動き−医療費抑制と制度改革 (2 回)

後期 (医療供給の政策)
(1) 医療供給体制の基本政策 (2 回)
(2) 医師・看護婦等の確保と質の向上のための政策展開 (2 回)
(3) 医療提供組織の変化と医療サービス産業の増大と政策展開 (3 回)
(4) 疾病構造の変化と医療技術の開発・在宅ケアの政策展開 (3 回)
(5) 医療における消費者主権=患者の自己決定の確保と政策展開 (3 回)
(6) 医療政策の新しい流れ−質の評価と患者負担のあり方 (2 回)

学習上の留意点
 医療は誰にも身近なテーマであるが、 それを支える人・物・金の制度・組織は複雑である。 国民すべてに 「人命は地球より重い」 という理想をどう実現するか、 医療政策の悩みと解決の方向性を考えていく。 1 年次科目の 「現代の医療と福祉」 をさらに専門的に掘り下げていくので、 これを履修していることが望ましい。

成績評価
 期末試験を行うほか、 レポート提出および出席状況をふまえて評価する。

 

テキスト  講義資料をもとに行う。 必要な場合は、 講義時に指示する。
 医療に関するビデオ映画・映像等の鑑賞による講義も予定。


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