司法福祉論

単位数 学年配当 開講形態 教員名
2 3 前期 山 口 幸 男

テ┃マ  私たちは自らの権利を擁護しつつ紛争処理・紛争解決をするために 「司法を活用する」 が、 現代の解決課題 (とりわけ非行問題を中心とする) を題材にして、 「司法活用」 の原理と方法を考察する

講義のねらい
 社会問題には司法による解決を不可避とするもの、 司法を利用出来るもの等があるが、 その場合、 問題の法的解決とともに 「生きた問題それ自体を解決」 するために社会福祉的な工夫が色々と為されてきた。 そうした実体的解決をも含む現代の司法サービスを広議の 「司法福祉」 と呼ぶが、 こうした実体的解決の過程や方法を狭義の 「司法福祉」 と呼ぶ。 本講義では主に後者について考察する。 そのために理論的考察を重視するが、 同時に犯罪・非行問題、 児童虐待問題、 家族・家庭問題等々を例に、 具体的な問題検討を通して理解を深めるよう心掛けたい。

講義のながれ
 1 . 導入− 「犯罪問題の解決」 とはどういうことか (VTR 「少年法@」) (資料 「犯罪問題解決図」)
 2 . 伝統的司法と新司法の葛藤− 「司法」 と 「福祉」 の関係を少年法史を例に考察する。 (VTR 「少年法A」) (資料 「司法福祉展開図」)
 3 . 司法福祉の理論的枠組−児童虐待問題を例に規範的解決と実体的解決の在り方を考える。 (VTR 「児童虐待」) (資料 「子どもの虐待危機介入チャート」)
 4 . 司法福祉の苦悩−例:児童の権利条約・少年法・児童福祉法と司法管理主義 (資料 「家裁手続き図」)
 5 . 司法福祉の検証課題−法律扶助・被害者援護 (VTR 「被害者の心の後遺症」 ほか)
 6 . 司法福祉の検証課題−死刑問題・履行確保 (資料 「ジャーニイ オブ ホープ」) (坂上香) (VTR 「死刑執行」)
 7 . 司法福祉の検証課題−社会内処遇 (更生保護) と施設内処遇 (矯正教育) (VTR 「保護観察」、 「少年院」)
 8 . 司法福祉の検証課題−児童福祉処遇 (児童相談所と児童施設) (VTR 「サナプチの記録」、 「僕達の少年期」)
 9 . 司法福祉の課題と方法 (非行臨床) −イタリア学派からシステムズ・アプローチまで (VTR 「非行と向き合う親」)
10. 司法福祉の方法−刑罰と保護 「社会福祉的援助」 の方法−回復的司法を含む (VTR 「少年刑務所」、 「被害者と向き合う少年」)
11. 司法福祉の方法− 「法の適正手続」 と臨床の 「フエアネス」 −社会福祉援助技術に於ける 「社会診断」 (M.Richmond) から何を学ぶか (資料 「リッチモンド“社会的証拠”」)
12. 司法福祉の研究方法−事例研究と判例研究の統一 「審判例研究」 の意義
13. まとめ:「司法福祉」 の現在と将来を考える
14. 期末試験

学習上の留意点
 出来るだけビデオや印刷資料を使って話しますが、 内容は簡単でないのでテキストや参考文献で自分の興味のある処を繰り返し学習したり、 そのうえに立って日常の出来事をじっくり考えるなどして出席して欲しい。

成績評価
 試験問題は事前に公開しますが、 試験では理由の如何を問わず 「同じ文面での回答」 は共に不合格とします。

テキスト 加藤・野田・赤羽編 『司法福祉の焦点』 ミネルヴァ書房、 1994 年


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