地方創生と地域金融機関

「地域密着型金融」
推進に期待

 愛知県は、今年2月、「愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部」を設置した。そこで、愛知版の「人口ビジョン」と今後5ヵ年の「総合戦略」の検討を行い、10月26日、「愛知県人口ビジョン・まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、「愛知総合戦略」)をとりまとめた。

 愛知総合戦略の「基本的な考え方」では、「優れた雇用環境」などの愛知の強みを生かして、「人口の維持・増加を図り、愛知の発展を図っていくことが重要」であり、リニア中央新幹線の開業を見据えて「国内外から人を呼び込む求心力を高めていく」こと、「『多核連携型』の都市構造」や「豊かな自然」環境を「今後の地域の発展に最大限生かしていくこと」が必要であると述べている。

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 このような「基本的な考え方」のもとで、「東京一極集中にストップをかけ、日本の活力を取り戻す大きな核としての役割をこの愛知が果たしていく」こと、「誰もがこの愛知を舞台にいきいきと活躍できる『人が輝く愛知』を実現していく」ことがめざされる。

 施策を展開する際に重視するのは、「産業を強くし、働く場をつくる」「地域の魅力を磨き上げ、発信する」「結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「活力ある地域をつくり、バランスある発展をめざす」という4つの視点である。

 4つの視点を踏まえ、「しごとづくり」「魅力づくり」「人の流れづくり」「結婚・出産・子育て環境づくり」「暮らしの安心を支える環境づくり」「活力ある地域づくり」という6つの「基本目標」を設定している。それぞれの目標について数値目標を設け、目標を達成するための具体的な施策・事業を提示している。

 「しごとづくり」の具体的な施策として、「中小・小規模企業の振興」を図るための「新規事業展開、販路開拓への支援」「事業承継、業態転換への支援」「海外展開の支援」や「創業支援」「サービス産業の生産性向上を図る」ための支援などをあげている。また「活力ある地域づくり」のための施策の中には「農林水産業の振興」などがある。愛知県は、産業界や地域金融機関などと連携・協力して、これらの施策に取り組んでいく。

 愛知県が地域金融機関に対して連携・協力を求めている内容それ自体は、地域金融機関が2003年度以降取り組んできた地域密着型金融(当初は「リレーションシップバンキング」と呼ばれた)の内容と同じである。しかしこれは、地域金融機関がこれまでと同じことを、同じやり方で実施していればよいということではない。

 いま地域金融機関に求められているのは、地域密着型金融の取組をより一層推進することである。地域金融機関は、顧客や地域が抱える多種多様な課題と向き合い、課題解決に向けた支援に今まで以上に積極的な姿勢で取り組まなければならない。地域金融機関が先頭に立って、地域の企業・事業者や住民がまち・ひと・しごとの創生を実感することができるような地域経済を実現させてもらいたい。