研究報告

里山管理のための食用キノコの利用
研究代表者:坂上 雅治
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5.考察

  6月上旬〜8月上旬にかけてのヒラタケの菌分離の結果から、これまで繁殖が確認されているコナラを含めて、すべての樹種で菌が繁殖できなかったため、本研究で考案した簡易法では子実体は発生しないと予想された.しかし12月上旬〜1月上旬にかけて菌床ブロックを取り除いた各3プランターのうちコナラとヒサカキの各2プランターから子実体が発生した.このことから、菌分離した原木では繁殖できなかったが、一部の原木では菌が繁殖できたと考えられる.したがってこのような簡便な方法でもヒラタケを発生させることが可能であることがわかった.また、これまで菌の繁殖が確認されていたコナラ以外にも、ヒサカキでヒラタケの子実体を発生させることが可能であることがわかった.したがって、大量に発生する除伐木であるヒサカキはヒラタケの原木として使用することが可能であると考えられた.ヒラタケについて、除伐の際最も多く発生するヒサカキで子実体の発生が確認されたことから、本研究で用いた簡易法を里山管理を促進させる一つの手段として応用することが期待される.今後は、より効率的かつ簡易的にヒラタケ子実体を発生させる方法を検討する必要がある.

 

引用文献

堀 靖人(2000)人と森の新しい関係.日本林業技術協会編,「里山を考える101のヒント」, 225pp, 日本林業技術協会, 東京.

大森清寿(1987)ヒラタケ 改定新版.農産漁村文化協会, 東京.

坂口精吾(2000)里山の恵み.日本林業技術協会編,「里山を考える101のヒント」225pp, 日本林業技術協会, 東京.

重松敏則(1991)市民による里山の保全・管理.74pp, 信山社出版,東京.

庄司 當(1996)マイタケ. 168pp, 農産漁村文化協会, 東京.

 

 

 

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