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まとめ 本研究のキノコ相調査の結果から,人為的な雑木林の管理は樹木にとって重要なパートナーである菌根菌の生育しやすい環境を形成し,同時に地上部においても多様な菌根菌のキノコ,いわゆる里山のキノコの発生しやすい環境を形成していることが実証できた.一方,ヒトとの関係が断絶した雑木林では,土壌は富栄養化し,この環境下においては,落葉分解菌や木材腐朽菌のキノコが発生しやすい環境となっていた.逆に菌根菌は腐生菌との生存競争により衰退し,キノコの発生どころか菌根を形成する機会も著しく減少しているものと考えられた.現在,われわれの身近にある雑木林の多くはこのような状態となっており,植生も菌根を形成しない樹木へと変遷している.菌根の有無は,樹木が生存していくためには重要であるため,管理放棄された雑木林に生えているコナラは管理されている雑木林に生育しているコナラに比べ,病原菌に対する抵抗性が弱く,養水分の吸収においても劣るものと考えられる.このような環境が続けば,今後,コナラはますます衰退していくものと考えられる. |
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