スギカミキリは本当にいるのか? 1998 年3 月上旬に小牧山の現地調査を再び行ったところ,さらに3 本のスギが枯れていた.そこで,残っているすべてのスギ(159 本)にスギカミキリ捕獲用の粘着シート(アース製薬製のカミキリホイホイ)を巻きつけ(図4),1998 年4 月下旬に回収した.4 月下旬の時点で,5 本の木は粘着シートがはずれていたため,154 本について捕獲状況を観察した.その結果,41本(26.6 %)のスギで合計140 頭のスギカミキリが捕獲された(図5).
3.まとめ

 1以上の調査結果から,小牧山においてスギを多数枯死させた“主犯”はスギカミキリであり,今回“犯人”として報道されたオナガキバチは,弱ったり,枯れたりしたスギで繁殖していただけで,枯死させたわけではないと結論された.このように,新聞にトピック的に載っている科学記事は,しばしば正しくない.新聞記事を,すべて“うのみ”にするのは危険である.

図4. スギカミキリ捕獲用の"カミキリホイホイ"が巻かれたスギ.
 
図5. カミキリホイホイで捕獲された大量のスギカミキリ.
 
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