Viewpoint 5

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 もうあと僅かで 1900 年代が終わる. 20 世紀を振り返り, 次の世紀への予測が期待をこめて語られている.
 しかし, 予測はとても難しい. 20 年余も昔のことになる. 私はジョンズホプキンス大学の図書館にいた. そこでは, バーコード方式が採用されていた. 日本ではいわゆる図書カードがまだ使われていたころのことである. うちの大学でもこのようになるであろうか, とてもアメリカにはかなわない, と私は思った. その大学を定年で退官したばかりのP教授は, “毎日, 世界中の友達とおしゃべりをするので, アマチュア無線をやっている”と言っていた. 自分もそうなるだろうか, と私は思った. アメリカでも, そして, 日本でも, 大学では自由に大型コンピューターが使えるようになっていた. 大きな仕事をする人は皆, 磁気テープのリールを抱えて行き来していた.
 今, このリールはフロッピーや光磁気ディスクに替わっている. バーコードは, 図書館ばかりではない. 日本中のスーパーで使われている. そして, 驚くばかりのインターネットの流行. 変化の予測はまったく難しい.
 これからの社会はこうなるであろう, だから, こうしよう, という準備は必要である. しかし, “かくあれかし”という目標の設定を真剣に考え, あるべき姿の実現に向けて努力していくことはもっと重要であろう. (M)