ふくしで活躍する卒業生voice中恵美さん

「すきな地域で、いつまでも自分らしく暮らしたい」を叶えるためのサポーター

金沢市地域包括支援センター
とびうめ センター長

中恵美さん

社会福祉学部第1部 1996年3月卒業
石川県/羽咋高等学校

仕事のやりがいは何ですか。

 大学を卒業後、ソーシャルワーカーとして働きはじめました。職場は、精神科病院の相談室等を経て、2006年からは地域包括支援センターです。「すきな地域で、いつまでも自分らしく暮らしたい」を叶えるためのサポーターといった役割です。誰しもがもつ当たり前の願いなのですが、当たり前のことほどむずかしいという現実にもよく直面します。私が日頃からかかわることが多い人生の先輩である高齢者のみなさんは、それぞれの人生の物語を紡つむいでこられています。相談面接のなかでは、唯一無二のその物語にまずは耳を傾けます。物語の主人公である本人の歩みをともに振り返り、次の一歩に向けての語りがみえたときは、この仕事の醍だい醐ご味みを味わえます。

仕事の現場で、「ふくし」をどうとらえていますか。

 人生に迷ったり悩んだりしたとき、自分の存在価値さえも見失うことがしばしばあります。そんな時に立ちどまり考えます。「ふだんの 暮らしの しあわせ」という頭文字をとって「ふくし」。当然ながら、そのかたちは一人ひとり違っています。福祉の現場で昔からいわれ続けている、Start where the client is(本人のいるところからはじめよ)という言葉があります。目の前の本人にとっての固有の「ふくし」のあり方を本人と一緒にみつけていくことを大切にしています。

現在の仕事への就職に向けて、学生時代に取り組まれたことは何ですか。

 よく学び、よく遊びを実践していました。白状しますと、不真面目な学生でした(笑)。学内で福祉の基本的な勉強をし、社会福祉士の受験資格を得る一方、課外活動では寝る間をおしんで友だちと泣いたり笑ったり、法律にふれない範囲で、いろいろな経験を重ねました。特に、全国から集まっている友だちの実家めぐりは楽しかったです。

大学時代の学びは、現在どのように活かされていますか。

 当時は日常すぎて気づきませんでしたが、振り返ると、学内外での学びはすべて今につながります。特に、全国から集まった多様な言語(方言)と文化をもつ友との出会いは一生の宝物です。障害がある友もいて、車椅子の操作方法や手話もそんな日常のなかで自然と身につきました。学びを活かす鍵は自分がもっているのかもしれません。

*所属・掲載内容は2020年2月現在