はじめてのふくし21版
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12345678910 2011年3月11日の東日本大震災は、津波と原発事故(天災と人災)が重なり、甚大な被害をもたらしました。多数の死者や行方不明者に加えて、家や仕事を失い、13年が経過した今でも、長年住み慣れた土地に戻れなくなっている人が数多くいます。その後も、西日本豪雨災害(2018年)、令和元年房総半島台風(2019年)、令和元年東日本台風(2019年)、令和2年7月豪雨(熊本豪雨、2020年)、令和6年能登半島地震(2024年)による災害などが発生しています。 日本列島は、狭い国土に住宅が密集し、海に囲まれた火山帯の上にあります。これまでくりかえし、震災や風水害など自然災害と向き合い、そのたびに復旧、復興を重ねてきました。東日本大震災では、1995年1月17日の阪神淡路大震災以降の経験が生かされ、組織的なボランティア支援に加え、避難所や仮設住宅での支援のあり方にも、被災した人の立場に立った工夫がされました。原発については、廃止を中心にすえて、事故がおこらない対応の重要さが確認されました。しかし、政権が変わると、再稼動を進める方針が示され、その是否が問われています。 全国各地では、いつなんどき地震や津波があってもおかしくないという想定で、避難場所や避難経路、そして万が一の場合の相互支援の手順など、具体的に地域防災・減災を実現する動きがすすんでいます。しかし、一番大切なのは日ごろの人のつながりです。 これからの時代は、ひとりぐらしの高齢者がふえ続け、認知症の方もふえます。少子化と孤立した子育てが広がり、地域や社会で子どもを育てるという考えや気風が弱まっているといわれます。お互いの立場や事情を理解し、みんなが力を合わせながら、同じ町や村で過ごすのでないとしたら、自然災害はまるごと町や村をのみ込んでしまうでしょう。 なにはさておき、少しでも何かを送ろう、何かしたいと思った気持ちを忘れてはいけません。かの地でボランティアとして体験した、人と人との心温まる交流を風化させてはいけません。(p.8)7

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