はじめてのふくし21版
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48 臼井さんのことばにせなかをおされるように、思いきって義足に体重を乗せてみました。50メートル。走ってみました。でも、とても走っているとはいえないようなスピードです。実際には歩いているような感じでしたが、体全体で風を感じることができました。その風がなんとも心地よく、さわやか!もう走ることは一生ないかもしれない、と覚悟していたので、義足になっても両足で走れることがうれしくて仕方ありませんでした。(佐藤真海『とぶ!夢に向かって』学研、2012、79ページ)© 2004 Nihon Fukushi Universityスポーツの持つ力3大会(アテネ、北京、ロンドン)連続でパラリンピックに走り幅跳びの日本代表として出場した谷真海(旧姓 佐藤真海)さんは、20歳の時に、骨肉腫のために右足下を切断し、義足生活になりました。つらい闘病生活の中で谷さんは、好きだったスポーツをまたやろうと思いたったそうです。東京都障害者スポーツセンターに水泳をしに通うようになった谷さんは、センターの人から義肢装具士の臼井さんを紹介されます。臼井さんは日本のスポーツ義足の第一人者です。谷さんは臼井さんから、義足の人たちの陸上競技の練習会に誘われ、陸上競技に出会いました。谷さんは、自著『とぶ!夢に向かって』の中で、はじめて義足で走った時のことを、次のように書いています。スポーツに関わるふくしの仕事スポーツに関わるふくしの仕事には、運動やスポーツ指導をメインとする体育教師や障害者スポーツセンターのスポーツ指導員、スポーツクラブのスポーツインストラクターのようなものと、運動やスポーツ指導がメインではないものの、高齢者施設や障害者施設、児童養護施設などでレクリエーションや運動、スポーツを指導するようなものがあります。どちらの場合も運動やスポーツの上達を促し、楽しさを伝える点では共通しています。前者の場合は運動やスポーツの技術体系や体の構造や機能、身体的発達や認知面の発達に関する詳しい知識を持ち、指導対象となる人々の特徴に合わせて運動プログラムを作ったり、専門的な指導ができたりすることが必要となります。後者の場合は健康の維持や体力の向上、気晴らしのための運動などを人々の生活パターンや体の状態を考慮して日常生活の中に取り込み指導する力が必要となります。いずれの場合も、対象者の身体的な特徴や発達段階に応じて運動の方法やプログラムを考えたり、指導したりする力が必要です。こうした仕事に生かせる資格として、保健体育教員免許状や健康運動指導士(健康・体力づくり事業財団)、障がい者スポーツ指導員資格(日本障がい者スポーツ協会)、レクリエーションインストラクターや福祉レクリエーションワーカー(日本レクリエーション協会)、スポーツリーダー(日本スポーツ協会)などがあります。資格内容(p.58)1415

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