はじめてのふくし21版
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4「ふくし」の歴史2ノーマライゼーションの社会へみなさんは、民主主義社会が生まれるきっかけとなったフランス革命(1789年)を知っていますか。フランスの三色旗に示される「自由・平等・博愛(連帯)」は、対等平等な個人が、互いに支えあって生きることの重要さを教えてくれています。アメリカ大統領リンカーンは、国民の一人ひとりが主人公であり、黒人を差別しないように訴えました。このような動きが、差別をなくし、弱い者を支える考え方を社会的に強めてきたのです。スウェーデンは、「自由・平等・博愛(連帯)」を最も徹底した国の1つです。デンマークで生まれたノーマライゼーション(誰もがノーマルな生活をすることは権利である)という考え方はスウェーデンで広がりをみせ、大きな影響を与えました。このように日本でも世界でも、人びとは人間の幸せのためにさまざまな仕組みを考え、活動を続けて今日をむかえています。誰もがその人らしく当たり前の生活をすることは権利である、というノーマライゼーションの考え方は、1950年代にデンマークで生まれました。当時は障害がある人たちは入所施設に収容するという政策に対して、障害児を育てる親たちが「我が子を自分の家で育てたい」という願いを訴えました。バンク−ミケルセンはそうした願いを踏まえて、この考え方をつくりました。日本では「共生社会」と呼びました。しかし障害のある人も、ない人も共に生きるということは簡単なことではありません。地域には差別や偏見があります。それらを乗り越えて、共生の文化をつくっていくことは大変なことです。そのために世界的には障害者権利条約をつくり、日本でも障害者差別解消法を制定してきました。37© 2004 Nihon Fukushi Universityノーマライゼーション

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