はじめてのふくし21版
36/68

7環境保全と福祉はむすびつくの?環境保全の取り組みが、これまで働く機会を手に入れられなかった人たちに、社会的に求められる仕事を提供することで、両者が持続的に結びつくことができました。滋賀県東近江市は、山林面積が広く、放置林の対策が環境保全の立場から求められています。そこで必要なのが除間伐作業です。しかし、その除間伐作業を困難にしているのが、その作業から出た原木の処理です。そこで、まちとしては、薪ストーブを製造する地元企業に働きかけ、その普及に乗り出しました。しかし、また問題が生じました。原木を薪にする作業にコストがかかり、それによって薪ストーブを利用する費用がかさむということでした。行政は図5のような「薪プロジェクト」を考案しました。障害者や生活困窮者が、除間伐から出た薪原木を薪にする作業に取り組むという中間的な就労の場を確保することで、循環をつくりだしました。この循環によって働き手のニーズが生まれ、中間的な就労とつながることで、環境保全と福祉が一体となりました。地域の資源を活用し、新たなビジネスが生み出されることで経済が循環し、地域にとっても財産となる取り組みが成功しています。地元の森林・里山34薪ストーブの製造薪ストーブの活用薪の生産・販売© 2004 Nihon Fukushi University図5薪プロジェクト・放置林の増加(管理放棄)(−)・獣害の温床(−)薪原木として販売雑木林の整備・獣害対策地域経済の活性化異業種の協働による商品開発・製造する地元企業あり(+)・針葉樹も燃焼可能(+)・導入実績・PR不足(−)・初期コスト高(ー)・改修必要(ー)・薪の調達方法がわからない(ー)再生可能エネルギーの利用促進火のある暮らしで家族団らん・薪原木供給が不安定(−)・雇用(事業)が不安定(−)ソーシャルビジネスとして地域活性化障害者・生活困窮者の中間的就労薪プロジェクト

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る