はじめてのふくし21版
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4こどもが健やかに成長するには?厚生労働省によると、全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は、2022年度には21万9,170件(速報値)にのぼり、前年度より11,510件(5.5%)増え、過去最多を更新しました。また、2021年度には、児童虐待により74人の子どもが死亡しています。さらに、夫婦間の暴力(DV=ドメスティック・バイオレンス)が増えています。DVは子どもへの影響も大きく、子どもへの心理的虐待にあたります。児童虐待はなぜおこるのでしょうか。その理由を4点あげます。一つには、「孤立した子育て」です。例えば、ひとり親世帯に見られる問題や、ワンオペ育児の問題です。ワンオペ育児とは、ほとんどすべての家事や育児を一人で担う育児スタイルのことです。両親のうちどちらかが仕事により家事育児に時間をかけられず、もうひとりの親のワンオペ状態が続くと、心身に大きな負担がかかり、不満やストレスがたまってしまいます。身近な人たちの協力が得られないと、孤独感や不安感が高まり、それが子どもへの暴力へと向かってしまうことがあります。二つ目には、親自身がかかえている問題です。加害者となった親も、子どもの頃にひどい虐待の被害者であったことが少なくありません。うまく人間関係が結べず孤立したり、子育てそのものの方法がわからないことによる不安により孤立することがあります。三つ目としてあげられるのは、子ども自身がかかえている課題が関係していることがあるという点です。子ども自身の得意不得意に大きな偏りがあったり、発達に凸凹があったり、という見えにくい障害が背景にあり、親は「育てにくい子」「いうことをきかない子」と感じてしまい、ついつい暴言や暴力による子育てに陥ってしまうこともあります。26子どもの虐待はなぜおこるのか

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