はじめてのふくし21版
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3「ふくし」の課題とその解決策を考えてみましょう高齢になるにつれて、介護や医療が必要になる人が増えていきます。そのための経済的負担、介護を続けていく中でおこるかもしれない身体的、精神的な負担が、高齢者の家族に重くのしかかることになります。こうした不安を解消するために介護保険制度が生まれました。40歳以上の人たちが保険料を毎月支払い、原則として65歳以上になってからだが不自由になったり、認がはじまったりしたときには、その程度に応じて介護サービスが受けられる仕組みです。自宅での介護サービスが受けられますし、高齢者の施設(特別養護老人ホームなど)や病院のサービスを受けることもできます。自分で身のまわりのことができなくなり、お金の管理もできなくなったような場合には、といって、信頼できる社会福祉協議会などが行う福祉サービスを受けたり、成人に代理を頼んだりする制度もつくられています。今後は、さらに高齢化が進み、認知症になる人も増えていくので、法律や福祉の専門家だけではなく、一般市民が「市民後見人」として活躍する機会が多くなっていくことでしょう。はじめに多くの人が自宅でくらすことを望んでいると説明しましたが、手厚い介護や医療が必要になった人やその家族にとっては、自宅よりも施設で過ごす方が安心できる場合も少なくありません。入所施設には、一人ひとりの状態に応じた介護・医療などのサービスを提供することができる環境が用意されており、高齢者の生活を支える上で重要な役割を持っています。そのような施設に入るためには、住みなれた地域から離れなければならないのでしょうか。いま多くの福祉施設では、入居者が買い物や食事などで外に出かけていく機会をつくったり、施設の中にある喫茶店を近所の人たちにも開放したりするなど、入居者が地域の人と交流するためのさまざまな工夫に取り組んでいます。また、最近では、地域密着型施設や小規模特別養護老人ホームなど、まちの中に小さな施設をつくり、その地域に住んでいる人が入居し、家族や友人がいつでも会いに行くことができるような施設づくりもすすめられています。大切なことは、どんな場所にいても「住みなれた地域でくらしている」という実感をもてる環境をつくることです。にんしょう知症ち年後見制度どこうせいねんけんせい21© 2004 Nihon Fukushi Universityからだが不自由になったときどうなるの?福祉施設に入るには、家族や友人と別れなければならないの?

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