はじめてのふくし21版
22/68

661「住みなれた地域でくらし続けたい」多くの人たちは、「年をとって、病気になったり、からだが不自由になったりしても、家族や友人のいる住みなれた地域でくらし続けたい」と願っています。ところが実際には、高齢になったり障害があると自分の家でくらし続けることが難しくなっています。だれでも年を重ねると共に、自分で身のまわりのことをすることが難しくなっていきますが、ひとりぐらしや夫婦の世帯が増える中で、それを手助けしてくれる人がそばにいない場合も少なくありません。また、身のまわりのことは自分でできる人であっても、一日中だれとも話をせずに過ごしている高齢者もいるようです。最近では、自宅で亡くなっても何日間もだれにも発見されずにいるような孤立死が起きています。これでは、豊かな生活とはいえません。誰もが、住みなれた地域でいきいきとくらし続けるためには、さまざまな支援や取り組みが必要です。20愛知県名古屋市熱田区にある神宮東けやき会では、土曜日の朝、団地の集会室を利用して「モーニングカフェ」を開いています。神宮けやき会は団地に住んでいる人たちの集まりです。カフェの日には、会の担当者がパンとコーヒーを用意し、団地の住民はだれでも参加できます。特別なプログラムはなく、コーヒーを飲みながら自由におしゃべりをする場になっています。「モーニングカフェ」は、同じ時期に団地に入居した人たちが会社を定年退職する年になり、これからはもっと住民同士が交流して助け合っていくようにしたいと考えるようになったことから始まりました。愛知県はモーニング発祥の地といわれ、もともと喫茶店で朝食をとる習慣の人が多かったことから、「モーニングカフェ」というアイディアが生まれました。最近では、困りごとの相談や、団地の問題などを話し合うことも増えているようです。また、スポーツや趣味の活動など、カフェ以外の時間の交流も活発に行われるようになっています。このような交流のある団地では、孤立死などは起きないのではないでしょうか。© 2004 Nihon Fukushi University「モーニングカフェ」で団地の住民が交流という願いを支えるには?

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る