はじめてのふくし21版
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2「ふくし」の広がり1憲法25条から憲法13条への広がり日本国憲法第25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と書かれています。すべての人びとの、「いのち」「くらし」「いきがい」を保障していくことを宣言したのです。そのあとに続く文章には、「社会的な手だて」が示されています。自立して生活できるようにするための人の支え、お金や物の援助、健康にくらせる手助けをおこなう仕組み(制度)を整えるということです。そのため、国や自治体は、税金や保険料で、生活、病気、老後、介護、障害などで困った場合の保障の仕組み(年金や医療などの制度)を整えてきました。憲法13条では、個人の尊重、幸福追求権が定められています。最低限度の生活の保障だけではなく、それぞれの人に合った質の高い生活(QOL=クォリティ・オブ・ライフ)が求められるようになりました。社会福祉を超えてさまざまな領域で「ふくし」の実現が考えられるようになりました。最近は、アクセシブルデザインという言葉がよく使われます。みんなのためになる計画、設計に加え、高齢者や障害のある人一人ひとりの要望にあわせ、誰もが不自由なくサービスを利用できるようにしたり、機器や道具を使えるよう工夫するという意味です。障害のある人の便利さを考えたモノや施設のデザインは、そうでない人にとっても便利です。みんなが利用しやすく、安全で、環境に配慮した商品を開発し、安価で提供できるようにしなければなりません。障害者や高齢者が住みやすい生活や環境を考えることは、みんなの「ふくし」を広げることにもなるのです。 私たちのくらしの中で、どのようなものがアクセシブルデザインになっているか、調べてみましょう。13© 2004 Nihon Fukushi University べてみよう調

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