はじめてのふくし21版
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1「ふくし」って何だろう?11現在では、「障害」を周囲との関係でとらえる考え方に変化しました。人は、心身の一部の働きが悪いとしても、時と場合によっては大きな力を発揮できます。周りが差別しないで、その個人の活動や社会参加を大切にして、持ち味をうまく発揮できる条件が整うならば、「障害」と「健常」の区別は必要がなくなります。日本福祉大学客員准教授の金澤翔子さんは、書家として世界的に活躍されています。2012年、NHK大河ドラマ「平清盛」を揮毫(きごう)されたことでも有名です。同じく書家で本学客員教授の金澤泰子さんは、「ダウン症」の娘を持つ母親として、様々な苦悩にぶつかりながらも、これまで翔子さんと共に歩んでこられたそうです。泰子さんは、翔子さんの書が人々を感動させる理由について、「純粋な魂と優しさを持ち、世俗への欲望を全く持たない生き方をしている翔子によって書かれた書だからです」と話します。翔子さん個人の「障害」という点に着目すれば「ダウン症」。しかし、その独創的で人の心を動かす「書」に着目すれば、個性豊かなすばらしい才能をもつ書家です。翔子さんは、30歳を機に念願の一人暮らしを始め、社会、世界とつながりいきいきとした生活を送っています。© 2004 Nihon Fukushi University2019年9月14日 日本福祉大学セミナー(福岡会場)での講演と揮毫この作品は、日本福祉大学スポーツ科学部棟内エントランスに飾られています。ダウン症の書家 金澤翔子さんの活躍障害という言葉について、かつては個人の「障害」という意味あいで使われていました。心身に何らかの働きの不具合があり、十分に能力が発揮できなくて、それが社会的な不利(ハンディキャップ)になるという考え方です。5

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